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LinuxでH8のフリー開発環境を!
章 2 GCC, Binutils, Newlibのインストール


2.1 ソースを取得する

これらのツールをインストールするには、何よりもまずソースを取得する必要が あります。有名なソフトウェアなのですぐ見つかるでしょう。取得方法について 詳しくは述べません。以下の文章では、gcc-2.7.2.3, binutils-2.9.1, newlib-1.7.1 を使用することを仮定していま すが、他のバージョンでもほぼ同じだと思います。


2.2 binutilsのインストール

binutilsをインストールするには、毎度お馴染のconfiguremakeを実行します。

     ./configure --target=h8300-hms --prefix=/usr/local
     make all
     make install

h8300-hmsは H8(正確にはH8/300)を表す識別子です。これからよく使 うので覚えておいて下さい。上では/usr/localを指定しています が、他のディレクトリでもかまいません。

これを実行すると、アセンブラやリンカがインストールされます。これらのコマ ンドは、頭にh8300-hms-がついています。(例えばasの代わり にh8300-hms-as)


2.3 GCCのインストール

まず、GCCをコンパイルするためにconfigureスクリプトを実行します。 binutilsをインストールしたときと同じオプションを指定して下さい。

     ./configure --target=h8300-hms --prefix=/usr/local

prefixオプションでは、binutilsをインストールした時と同じディレ クトリを指定して下さい。

残念ながら、このあとmake一発ではコンパイルできません。 Makefileを書き変えて、LIBGCC2_INCLUDES-Dinhibit_libcを加えて下さい。(このオプションはインクルードとは 関係ないんだけど許してね)

     LIBGCC2_INCLUDES = -Dinhibit_libc

そして、makeを実行します。ここではCコンパイラしか作れませんので、 引数としてLANGUAGES=Cを指定することでC++コンパイラを作らないよ うにします。

     make LANGUAGES=C all
     make LANGUAGES=C install

次に、float.hを入れ替えます。普通は浮動小数点の扱いがCPUごとに違 うため、クロス環境ではfloatを(デフォルトでは)使えないようになっています。 しかしH8にはFPUがないため、このへんはごまかしてしまいましょう。ホスト用 のfloat.hをコピーしてしまいます。下のディレクトリ名は環境に応じて変えて 下さい。

     cp /usr/lib/gcc-lib/i386-linux/2.95.2/include/float.h
     /usr/local/lib/gcc-lib/h8300-hms/2.7.2.3/include/float.h

この時点でCプログラムをコンパイルできるようになっているはずです。


2.4 Newlibのインストール

Newlibもいつも通りconfiguremakeでインストールします。オ プションはいつものものを使います。

     ./configure --target=h8300-hms --prefix=/usr/local
     make all
     make install

これで終わり。簡単ですね。


2.5 G++のインストール C++コンパイラが欲しいなら、この時点でGCCのソースディレクトリに戻って makeをし直します。

     make all
     make install


2.6 トラブルシューティング

`no such 386 instruction'が出る
GCCとbinutilsを違うディレクトリにインストールしましたね。デフォル トではこのようになってしまうので、ちゃんと--prefixを付けましょ う。
`stdio.h: No such file or directory'が出る
NewlibをインストールするまではLANGUAGES=Cを指定して、C以 外のコンパイラをインストールしないようにします。
`#error float.h values not known for cross-compiler'
float.hを入れ換えましょう。


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LinuxでH8のフリー開発環境を!
version 1.0, 24 Nov 1999
Muneyuki IWATA kp9m-iwt@asahi-net.or.jp