昔ベストセラーになった本だが、今さらながら読んだ。そしてその先見の明に感服した。こんな本を1990年に書けたトフラーはすごい。
この本が出た当時の人にはそのすごさがわからなかったかもしれない。しかし今ならわかる。ソ連崩壊もEU統合も予言している。当時あれだけ米国は斜陽呼ばわりされていたのに、ちゃんと日本のバブル崩壊と米国の復権も予言している。民族主義の台頭やイスラム原理主義もアジアの通貨危機もテロとの戦いも日本のイラク派兵論議まで(イラクとは名指ししていないけれど)ちゃんと書かれている。
この本の主張を端的に言えば、「モノとカネの時代は終わってこれからは知識の時代だ」ということになろう。PCとインターネットが普及してまさにその通りになった。まあこれだけなら「ここまで予言するとはすごいね」で終わるところだが、この本では知識の時代になったら世界はどうなるかまで書かれている。さらに先までお見通しだったのだ。そしてその通りになりつつある。
おそらくこの本は出るのが10年早すぎたのではなかろうか。当時こんな事を言われても読者にはまったく実感が湧かなかったに違いない。今、この本の主張は非常な説得力を持って読める。今を理解し先を予見するための必読書である。