オランダ靴の謎

「読者への挑戦状」があるおなじみのスタイルの長編ミステリ。病院の中で起こった連続殺人の犯人を探せ!

本格ミステリの楽しみ方はとにかく自分で徹底的に考えることにつきる。何度も読み返してメモを取り、細かな証拠を発見してそこから筋道の通った結論が出せた時の快感! 作者から挑戦されたからには、受けて立つ責任の持てない人は読むべからず。

こうしたミステリを読む上での一つの不安は、「読者にすべての手がかりが与えられると言っているが本当か?」というものである。必死に考えてどうしても分からず、結局その先を読んで「なんじゃこりゃ。こんな卑怯な!」とはなりたくないものだ。この点は読んだ私が保証する。なぜなら、私は「読者への挑戦」の時点で謎を解くことができ、犯人を言い当てることができたからである。

あっと言わせるトリックや奇抜な舞台立てはないが、さりげなく埋め込まれた手がかりやヒントを真っ向勝負で見つけて欲しい。