古本屋で見つけたよくある若者論である。表紙をみると、「最近の若者は、怒 ることを忘れ、ひとり殻にとじこもろうとする」などと、最近よく言われて いるようなことが書いてある。ただ、気をつけなければならないのは、この 本が書かれたのが1979年である点だ。つまり、ここで書かれている「若者」 は、今の50代にあたるということである。
オイルショック後でバブル前の経済が停滞していた時期に書かれたこの本は、 わりと暗いムードで書かれている。その雰囲気は、今に通じるところがある。 でも、ここに書かれた「若者」のほとんどは何らかの職業についている。今 の人が若者論を書くと、おそらく高校生くらいの人のことを書くんじゃなか ろうか。そこが大きな違いでもある。
こういった若者論は、昔から同じように言われてきたこともあれば、今の若者 に特有のものもある。両者を知ってうまく分類することが重要である。