インフェルノ-SF地獄篇-

SF作家であるアレン・カーペンタイアーはある日、不慮の事故で死んでしまう。そして気がついてみると、そこは文字通りの意味で地獄だった。最もSF作家らしいSF作家が描く地獄の旅。

いかにもニーヴンらしい茶化しかたで、ダンテの地獄篇をパロってみせる。しかしさすがに地獄だけあって、笑い飛ばすわけにはいかない。おぞましい描写とそこにはさまれるユーモアのバランスが絶妙で、重いテーマを読みやすく語っている。

内容も作者の倫理観を前面に押し出したものになっている。この倫理観はニーヴンのものなのかパーネルのものなのかはたまた両者が一致しているのかは知らないが、少なくともニーヴンSFの根底に流れているものである。ニーヴンSFの魅力というのは実はここにあるのではなかろうか。とすると、この一冊はそれがディープに味わえるよい本だ。


注釈: この本は以前レベル2に格付けしていたが、最近読み直して格上げした。