異常の構造

評価
4
ジャンル
心理
著者
木村 敏
出版社
講談社新書

統合失調症のお話。私がこの本が重要だと思うのは、ここに書いてあることが単なる精神病の症例だけでなく、現代の日本(特にオタク)の持つ病理を描き出しているように思うからです。ネットで、この本で書いてある症例と同じことを言っている人をたまに見かけます。だからこそ恐いのです。

この本で書かれているように、この恐怖は、常識が通用しない人への怖さです。そして、我々が当たり前のものとして使っている常識というものが、通用しない人にとってはまったく通用しないという怖さです。さらに、常識が通用しない人が増えているように感じます。ここで言う「常識」とは、マナーとか社会のルールといった話ではなく、もっと根源的なもの、例えば「自分は自分である」といったものです。

統合失調症は、もはや一般人には関係のない特殊な病気ではない、そう思えるのです。