パーネルの未来史シリーズの一冊。SFといっても中身は中世風のミリタリーSFです。「地球から来た傭兵たち」に似た雰囲気です。
よく考えられた舞台設定のおかげで、「中世に突然出現した現代人」テーマを矛盾なくすっきり描いています。そして中身は「ファンタジーでない」中世もの。中世世界を主人公の知恵で乗り切る心地よい冒険譚です。中世の戦いの戦術論が見物。
全体に漂うミリタリーものの無情な雰囲気がまたこの世界にマッチして、独特の雰囲気を出しています。そして、主人公を取り巻く権謀術数もすごい。さすが政治学教授までやっていたパーネルならではでしょう。
私はラストも大好きなのですが、内容はあえて言いません。バンザイの中にも少しの寂しさや空しさも伴う、微妙な味わいのあるラストといえましょう。