巨大な超高層ビル「トドス・サントス」と、それを破壊しようと企むテロリストのお話。というとちょっとまとめすぎで、主眼はトドス・サントスそのものにあります。ユートピアテーマの一冊。
つまり、テクノロジー万歳、超高層ビル万歳というわけで、いかにもニーヴンなのであります。テクノロジーの恩恵を受け入れた幸せな生活。全体主義、管理社会のようでありながらみんな幸せ。科学技術=悪、管理社会=悪という思い込みは思考停止であり、本当の問題は道具の使い方にあるということです。
残酷な描写がさらりと書いてあったり、強烈なブラックユーモアがあったりします。このへんの毒もまた味ということで。ニーヴンとパーネルのコンビは本当に長所と短所をおぎなっていいコンビです。