21世紀の一番ホットなSF作家、グレッグ・イーガンの短編集です。
あい変わらずぶっとんだ話ばかりです。「祈りの海」が他の長編のアイデアを借りている話が多かったのに比べて、今回はオリジナルっぽい話がほとんどです。若干見たアイデアが含まれてはいますが。相変わらずの無茶な(誉め言葉)アイデア炸裂です。
イーガンのいい所は、極端に言えば「人間って何だろう」という疑問をSFの手法を使って描き出す所にあります。もともとこれはサイバーパンクのテーマでもあったのですが、サイバーパンクがあまりにも俗っぽくなり過ぎてしまったために、かえって正道を貫き通しているこれが目に止まるのでしょう。
イーガンの他の作品に比べるとややSF臭の抜けた作品です。いや、普通の人から見れば「これがSFでなくて何だ?」となるのでしょうが、プンプン臭う臭さというのがないのですよ。私にとってはこれはマイナス評価ですが、SFが肌に合わない人にはかえって良いかもしれません。