シナリオの必要性
ここでまず、「なぜシナリオが必要か」ということについて述べておきたい。つ まり、ロールプレイにおいてシナリオが果たす役割についてである。
シナリオとはすなわち、全員の事前の合意事項である。プレイにおいて、各人の 思惑がずれていてはプレイに支障が出るし、他人がどう動くかある程度予測がつ かなければ自分も行動できない。これらをうまくまとめるのがシナリオの役割だ。
具体的には、シナリオは次のものを与える。
セッションの「雰囲気」
ゲームの「目的」
ゲーム中の「約束事」
逆に、シナリオを提案する時は、この3つが入っているかどうかを確認すべきで ある。
シナリオの雰囲気
セッションの「雰囲気」は、ノリのいい楽しいセッションを作る上で重要なもの である。最初は手探り状態でだんだん出来てくることも多いが、最初からアクセ ル全開で行きたいという人は最初に決めておくとよい。
シナリオは雰囲気を大いに左右する。「宝探し」セッションではコミカルになる し、「救助」セッションでは悲劇調になる。たまには「メロドラマ風」とか「江 戸時代劇風」とか「西洋ファンタジー風」なんてのも面白い。
ただ、プレイヤーやキャラにとって得手不得手があるので、できれば雰囲気はキャ ラの自己紹介をしてから決めたいものである。そのためにはいくつかシナリオを ストックしておく必要がある。それが無理でも、少なくともシナリオをどうする かを考える前に自己紹介をするのは悪くない考えである。場合によっては、各キャ ラの自己紹介から新しい方向性が見えてくるかもしれない。
シナリオの目的
重要な割にはなかなか必要性を理解してもらえないのがこの「目的」であ る。「なぜ彼らはラグオルに降りるのか」を明確にするのが「目的」である。も ちろん、ここで言いたいのは「金のため」「自分を磨くため」ということではな く、「今日の目的」である。クエストを考えてもらえば一番わかりやすいだろう。
もちろん、PSO本来の「森の探索」という目的を掲げるのも一つである。しかし、 これは問題の多い設定である。というのは、PSOのシナリオは「1回ずつ順番にや ることを想定している」からである。つまり、例えば森ステージの場合なら「パ イオニア2で森に潜った人はまだだれもいない」という前提条件をつけないとシ ナリオが破綻する。
本来、目的は簡単に達成できないものの方が望ましい。なぜなら、ゲームは目的 を達成するまでの過程を楽しむものであるから。しかし現実問題としてPSOでそ れを実現するのは困難である。というのは、ほとんどの場合、戦闘をメインに据 えるほかなく、PSOでの戦闘は非常に簡単で負ける余地がないものだからだ。
こういう場合にはキャラがそれぞれ「自分として の目的」を持つべきだ。例えば「できるだけ楽をして金を稼いでずらかる」とい うように。シナリオとしては、こういうキャラごとの目的が立てやすいような目 的にするのがよい。
もし例えば「私のキャラは生き別れた父親を探しているのだ」と言う人があった ら、一つ注意してほしい。あなたのキャラは「今日この回は」父親を探しにラグ オルへ行くのであろうか。それなら、あなたが依頼者となって、「父親を探しに いく」シナリオにすべきである。そうでないなら、行くついでにちょっと探すの はいいが、本来の目的を主に考えてほしい。仕事を受けておきながらそっちのけ で父親を探すのは常識的に考えて良くない行いである。
シナリオにおける約束事
シナリオを決める上で見過ごされがちなのが、「制限」あるいは「取り決め」を 与えるという機能である。世界観、あるいは取り決めは、プレイヤーによって案 外異なるものである。それを事前に擦り合わせておく必要がある。
例えば、「リューカー/テレパイプ」の存在はしばしば問題となる。これがある と、「遭難」や「逃げ道を断たれる」ことが事実上ありえないからである。ある いは「ドラゴンが何匹いるか」というのも問題だ。ドラゴンは一度倒したらその 後ドームはどうなるのだろう?注意しないと色々な矛盾点が噴出する。
すべての事に対して事前に取り決めをするのは事実上は不可能だ。しかし、転送 ゲートが使えるかどうかやキャストに搭載された各種センサーが使えるかどうか といった問題は事前に決めておく必要があるだろう。一般人が普通にラグオルへ 降りられるのかどうかも見解の相違になりがちである[1]。
場合によっては「レスタ制限」をかけることもある。「戦闘中のレスタ/リバー サー禁止」などである。これらの制限は、余りにも簡単すぎる戦闘の難易度を上 げ緊張感を出すのに役立つ。
一般には降りられないことになっているらしいが、オフクエを見ているとどうもザル法らしい。 ↩︎