ロールプレイのスタイル

辛口の視点が好評(?)のロールプレイヤー考察が内容を大幅改訂。

キャラ育成派プレイの傾向と対策

さて、この章では、キャラ育成派プレイに対する「プレイ上の注意」をとり上げ る。中には批判めいた記述もあるかもしれないが、筆者にカミソリメールなど送 らないように。

キャラ育成派セッション

キャラ育成派セッションでは、本来、依頼も設定もシナリオも必要なく、ただ単 にキャラとその設定があれば十分成立する。メンバー中に本当にキャラ育成派の プレイヤーしかいない場合はこうなるが、一人でもシナリオ派や成行き派がいる 場合には彼らがシナリオを提案するため、なんらかのシナリオ設定がつく場合が 多い。しかし、キャラ育成派のセッションでは、そうした設定はほとんど意味を なさない。

キャラ育成派のキャラが支配的になるのは次の2つの場合である。

  • 「積極的」育成派キャラがいる場合

  • 「消極的」育成派キャラが大半を占める場合

「積極的」育成派キャラとは、陽気で勝手気ままに動き回るという設定がされて いる育成派キャラのことだ。代表例、かつ最も影響力の大きいものは「お子様」 である。なぜなら、言うことを聞かないし、理解することもできないからだ。( この場合の「お子様」はプレイヤーではなくキャラであり、言うことを聞かない のもプレイヤーのことではない。念のため。)

お子様キャラほど破壊力の大きくないキャラ、例えば「女の子スキー」(女の子を 見るとすぐナンパしようとする軽いキャラ)の場合は、キャラ育成派セッション にならない場合も多い。しかし、他の(特に成行き派の)キャラのターゲットにさ れてそのキャラ中心で動く場合も多い。(多くの場合ひやかされる)

逆に「消極的」育成派キャラは、無口で、人間に対して不信感を持っており、仲 間を作らず自分勝手に行動するキャラのことである。消極的育成派キャラが多い 場合は、かなり困った事態になる。会話を始める人がいないため、淡々と進んで しまい、淡白なまま終わってしまうことが多い。チーム内に成行きキャラがいて もあまり助けにならない場合も多い。なぜなら、成行きキャラは基本的に「周り の状況を見て自分の行動を決める」ため、周りの状況がないと行動できないから だ。シナリオ派キャラがいれば、途中で勝手に自分でシナリオを作って引っ張っ ていくかもしれない。

そして、不幸なことに、積極的/消極的なキャラが多数を占めると、各自勝手に 違う方向に走り出してセッションは崩壊する。例外は全員のキャラが同じタイプ の場合(例えばお子様ばかり、など)である。この場合、同じ方向に走り出すので、 一人の場合に準じて対応ができる。

キャラ育成派プレイに対するシナリオ派の対策

チーム中にキャラ育成派プレイヤーがいた場合、シナリオ派のプレイヤーはどう したらいいだろうか?

まず、ブリーフィング時に積極的に動き、シナリオの主導権を握るのがよい。その 際、まず(キャラの)自己紹介を聞き、それらのキャラをどうシナリオに組み込むか を考えなくてはならない。自己紹介を聞いた時点でキャラがどう動くかはある程度 想像できるだろうし、実際シナリオがどうあろうとその通りにしか動かないはずだ。

特に積極的な育成派キャラに注意しよう。彼らは明るい性格である場合が多く、暗 めのシナリオには不適切である。こうしたキャラを積極的にシナリオに組み入れて しまおう。でないと暴れ出して手がつけられなくなる。

消極的育成派キャラは、自分だけでは行動ができないため、だれかの助けを必要 としている。シナリオを引っ張ってくれる存在は大歓迎なのだ。シナリオ派のプ レイヤーにとっても、素直にシナリオについてきてくれるありがたい存在である。 うまく配役すれば、カッコいい反応でシナリオを盛り上げてくれる。

「キャラ育成派」は、ストーリーなんてどうでもいい。だから、あなたが予定し たストーリー通りにそのキャラが動かなかったからと言って、文句を言ってはい けない。彼らはストーリーなんてはなから見ちゃいないのだ。「せっかく自分が 素晴しいシナリオを提供したのに……」と思うかもしれないが、この章のはじめ に言ったように、彼らはそもそもシナリオなんて欲しいと思っていないのだ。

キャラ育成派プレイに対する成行き派の対策

チーム中にキャラ育成派プレイヤーがいた場合、成行き派プレイヤーができるこ とはただ一つ、彼らをありのままに受け入れることだ。彼らを自分たちと同じ協 力できる仲間として見るのではなく、NPCとして見るのだ。(なんだか酷いことを 言ってるような気もするが、何度も繰り返すように批判ではない。)

例えば、お子様キャラが一緒だった場合、依頼を単なる「人捜し」ではなく「この 子を連れて人捜しをしてくれ」という依頼だと考えるのだ。子供の面倒を見るのも 目的の一つとするのである。

消極的育成派キャラに対しては、ほとんどの場合会話が一方通行になるが、それ を承知でプレイするしかない。こんな場合に現実世界ではどうするだろうか?そう、 愚痴だったり罵声だったり、である。宮川大助・花子の漫才を見よ。相手があうあ うしか言わなくても立派に面白い会話になるのだ。

副次的目的として「育成派キャラの悪い性格設定を変更させる」(例えば女スキー キャラにそれを改めさせるとか、無口なキャラの心を開かせる)のはやめたほう がいい。それは相手プレイヤーの意思に反することである。そういう声を掛ける のはよいが、あくまでフレーバー程度に抑えるべきで、それをキャラの目的にし てはならない。逆に、相手キャラの設定を知って、それを肯定してあげよう。ど うやって肯定するか?それを考えるのもまた楽しい。

成行き派の人は、キャラ育成派の目的が根本的に自分とは違うことを注意しなく てはならない。キャラ育成派にとっては、依頼なんてどうなろうと構わないのだ。 仲間割れもまたよし、喧嘩もいい思い出だと思っている。

もう一つ違うこと、それは「設定は絶対である」という点だ。成行き派の多くが 「設定なんてなくてもいい」と思っているのとは正反対である。彼らにとって、 設定を変えるというのは許されない行為なのだ。

キャラ育成派プレイに対する雰囲気派の対策

雰囲気派の場合は、シナリオ派のように自分から「○○風でやりましょう」と雰 囲気の提案をしても無駄だ。キャラ育成派は自分のキャラ設定を無視することを 嫌うからだ。というわけで、成行き派に準じた対処法となる。

自分一人で雰囲気派プレイをやるというのも一つの方法である。PSO設定のキャ ラの中で一人だけ「私はさる王妃に仕える騎士です」とやっても非難されるこ とはなく受け入れてもらえる。なぜなら、キャラ育成派はお互いのキャラ設定を 尊重するというのが暗黙のルールだからだ。

つまり、キャラ育成派は「この世界はなんでもあり」だと思っている。複雑な設 定のキャラを持ち寄って統一した世界観を作るなぞ不可能だからだ。ロボコップ の隣にランスロット、シャーロック=ホームズ、仮面ライダーがいても何の違和 感も持たずに話を進めていける。あなたも安心して自分だけ適当な雰囲気を設定 して楽しもう。

キャラ育成派プレイヤーが注意すべきこと

まず、皆が「キャラ設定を出す」ことに喜びを見い出すわけではないことを知る べきである。特に成行き派キャラは例えば「酒を飲むと裸踊りを始める」と設定 にあるかも知れないが、キャラに酒を飲ませて裸踊りをさせたいわけではない。

キャラ育成派の場合、設定をお互いに知らないと絡むことができない。そのため 初めての人と潜ると不満がつのる。しかし、それはある意味仕方がない事態であ る。セッション開始前に各キャラの設定を延々と説明すればいいと思うかもしれ ないが、他のキャラの設定を延々と聞くのは案外つまらないものである。

チームの中に良く知っているキャラとあまり知らないキャラがいると、どうして も良く知っているキャラの設定に絡みにいってしまう。しかし、これは注意すべ きである。二人だけで話が進んでしまいがちで、あまり知らないキャラがとり残 されてしまうからだ。他人を置いていって二人だけの世界を構築していないかど うか気にかける必要がある。

また、キャラ設定は変わるものではないため、同じキャラとだとどうしても同じ 展開になってしまう。あなたはいつもの台詞さえ言えればそれでいいのかもしれ ないが、毎回同じではつまらないと思う人もいるのだ。

そして、キャラ育成派では細部の描写にまでこだわることが多い。例えば、脳内 に衛星とのインターフェース回路が組み込まれているキャラが、衛星と通信する のに、「リンクシーケンス開始……S1ステートに移行……」などと延々と始める 例だ。これを他人はうんざりした目で見ていることを忘れてはならない。

キャラ育成派は、「自分のキャラ設定を出す」のが目的であるため、自分しか見 ていないことが多い。他人を気づかうことを忘れないようにしよう。