クライマックス、そして
スクリーンには端末室が映っていた。数多くのスクリーンが並ぶ。そして、それを必死になって破壊する3人。ディスプレイのガラスが砕け散る様子が鮮明に映し出される。そして、やがて轟音とともに出現したのは、一体の巨大なロボットだった。
タイレル: ボル=オプトか! こんな所にあったとは!
アイリーン: 総督、あまり大きな声を出しては……
総督はアイリーンの方に振り向くと、すまなさそうに身を縮め、椅子に座り直した。
レイナ: 何かウラがあるようね
スクリーンの映像はなおも続く。
天井から巨大な柱が降りてくる。それを巧みに避けながら、巨大ロボットに攻撃を続ける。このあたりは、さすがハンターズである。やがて、破損した装甲板から配線類が姿を見せ始め、ショートによる電気火花がちらつき始めた。
大きな爆発を残してロボットが粉々になると、あたりは急に靜かになった。カメラは立ちつくす3人を映している。
アス: ふぅ。ま、こんな感じかな
ソフィア: ふぅ、これで終わりかしら?
バル: みたいですね
アス: この辺も記録にとって、と…あとは報告書ね
スクリーンが暗くなり、部屋の照明がゆっくりと明るくなった。総督が立ち上がると、慌ててアスタシアも立ち上がった。
タイレル: 坑道の調査の様子はわかったが、これを新入生達にそのまま見せるつもりかね?
アス: ええと、編集するはずだったんですけど……
タイレル: まあ、編集はするとしてもだ。全部カットしてしまったら何も残らなくなるのではないかな?
アス: ええ?えーと、そ、それは……
タイレル: 大体近ごろのハンターズはなっとらん。パイオニア2の全住民の運命がかかっているというのに、遊び半分で仕事をしていると聞いている。ろくに調査もしないでケーキ屋探しやダイエットの手伝いまでしているというではないか
アイリーン: (小声で)またはじまりましたわね
アイリーンは空のコップとバスケットをトレイに載せると、さっさと部屋を出ていった。レイナは……いつのまにかいない。
レイナ: ふふふ。
レイナは上映室の奥の機械室にいた。コンソールにはスイッチが並び、小さなモニターが3台据えつけられている。正面はハーフミラーになっていて、外からは見えないが、中からは上映室の様子がよく見えるようになっている。レイナは最新鋭の小型ビデオカメラを手にしていた。
技師: ああっ、それ、最新鋭の大容量ホロキューブが入るタイプじゃないですか! いいなあ。
レイナ: ビデオ撮影って、やってみると案外面白いものね
ビデオカメラのファインダーには、大声で怒鳴りたてる総督と、肩をすぼめてぺこぺこ頭を下げるアスタシアが映っていた。
(おしまい)