崩落・捜索・救助

ラグオル地下坑道で落盤事故が発生。直ちに救助チームが編成され、いまだに危険な事故現場に向かった。そこで彼らが見たものは...

悲劇の予兆

管制室に赤ランプが灯った。
声: メーデー、メーデー
そして、直後にズズーンという音がしたかと思うと、不意にスピーカからの音が止んだ。管制室は一瞬しんと静まりかえったが、すぐに人の声で一杯になった。

採掘場での異常事態はすぐに総督府へ伝えられ、緊急対策本部が設けられると、すぐさま救出部隊の編成が行なわれた。詳細な状況も不明な中、迅速に人命救助を行うには、卓越した行動力と判断力、それらの総合力が問われる。そうした人材を数多く集めなければならない。採掘場は巨大なため、多方面から手分けして捜索しなくてはならない。多数の優秀な人材をすぐに集めるには...

総督府のコンピュータは、直ちに非番のハンターズ達のリストを出力した。

第3ブリーフィングルームで、すぐさま状況説明が行われた。正面のスクリーンには採掘場の見取図が表示され、横で技師が構造をしきりに説明していた。

採掘場はすべて地下にある。2層構造になっていて、下階が実際に鉱石を採掘する場所、上階は精錬工場になっている。広大な面積をもつこの採掘場は自動化されていて、実際に作業をするのは様々なロボットである。しかし、監督のためと各種調査のために、若干の人間が実際地下に降りて働いている。彼らを救出するのが救助隊の役割だ。

ただ、今回は単なる救出任務ではない。採掘場のサブ制御室とのリンクが切れてしまっていて、中の様子がわからないという。しかも、リンクは異常事態の直前に向こうから一方的に切られているため、管制コンピュータが暴走している可能性も高い。予測不可能な危険が存在するため、ハンターズも戦闘用の装備で望むこととなった。人命救助を最優先に、そしてそのためにはある程度の破壊もやむなし、との取り決めとなった。

採掘場は巨大なため、それぞれの救出チームが複数の入口から一斉に突入することとなった。第3区画には、エリヤノフ、ヴァリシス、シーナ、アルトゥアの4人のチームが突入することとなった。


Captured Image
シーナ: ここ……やな
シーナはあたりを見回した。薄暗い緑色の照明が顔を不気味に照らしている。ヴァリシスはその横でしきりに銃を振り回していた。
ヴァリシス: はやくはやく〜。急がないと、助かる人も助からなくなっちゃうですよー
エリヤノフ: ああ
アルトゥア: OK
エリヤノフはうなずくと、槍を片手に持ち換えた。アルトゥアは小柄な体に似合わない大きな剣を肩に担いで手を振った。
そして、全員が一斉に駆け出した。


エリヤノフ: だがここいらへんにも暴走した連中が...
ヴァリシス: これですね
エリヤノフ: やはりか! 下から上がってきてるナ
ヴァリシスが指差した先に、採掘機械が動いているのが見えた。本来ここは工場区画なので、輸送チューブやベルトコンベアはあっても採掘機械はないはずだ。

暴走した採掘機械を外部からの指令によって停止させる試みは既にいやというほどなされていた。暴走した危険な大型機械を止める方法はただ一つ、破壊することである。

各自の使い慣れた武器をふるって、破壊活動が始まった。大きな腕を振り回すのを巧みに避けながら、弱そうな部分に攻撃を集中した。機械では、ジョイント部やボディの継ぎ目の部分にあたる。ほどなくして、採掘機械はすべて沈黙した。

シーナ: ここは片付いたな
ヴァリシス: うわぁ、あんなのがいるんじゃあなぁ〜
エリヤノフ: このぶんだと、この上層でも職員がやられてるかも、しらんゾ
シーナ: まだ希望を捨てたらあかんで! まだ間に合うはずや!
シーナは、奥の扉を見ながらきつく叫んだ。エリヤノフとヴァリシスの2人も顔を上げた。
ヴァリシス: はい!
アルトゥア: なんだっていいぜ、さっさといこうぜ
アルトゥアがさっさと歩いていき、皆はそれに従った。
シーナ: せやな