勇気の証明

学校の友達にラグオル地表での冒険話を聞かされたガート君は、自分でも行ってみたくてたまらなくなり、とうとう近所の仲間と一緒に森へドラゴン退治に出かけました。

女性問題

Captured Image
彼らを待っていたのはドラゴンではなく、森でおなじみのブーマだった。不気味な顔と凶暴な性格を持つ彼らが慕われ人気者になることはあまりない。

エクセル: ブーマですねぇ
エクセルは眼鏡をかけ直した。しかし、いくら見ても目の前の敵が変わることはない。エクセルはブーマの集団に向かってギフォイエを放った。
ガート: おお、エクセル、やるじゃないか
エクセル: この! このっっ!!
エクセルはブーマの群れの中でさらにギフォイエを放つ。
ガート: よし、証拠写真をちゃんと撮ってやる
しかし、ガートランドがカメラを構えた頃には、ブーマの群れは既になかった。レオンとプロト-Kも、武器を収めていた。
レオン: ふう
ガート: あ、ちょっと遅かったか

そして、エクセルはいつもと同じように森の生物の標本を採集していた。
エクセル: はぁ……戦闘は疲れます……
ガート: でも、心地よい疲れだろ?そうだろ?
エクセル: ん〜〜、そうですねぇ……
レオン: 気持ちいいねえ
K: ああ、日差しがぽかぽかと……
エクセルを除く3人は地面に座ってしばし休息をとっていた。レオンはまた水筒からお茶をすする。プロト-Kは気持ちよさそうに空を見上げていたが……
K: って、暑い!
ガート: 暑い?
レオン: 暑いかなぁ?あったかくていい気持ち♪
K: 排熱排熱〜
プロト-Kはそう言うと、背中の通気口から熱い蒸気を吹き出した。
K: あー、楽になった

3人がのんびり座っている所に、草むらをうろつき回っていたエクセルが戻ってきた。
エクセル: やっぱり研究していた方がエキサイティングです
ガート: 研究だけじゃ女の子は寄ってこないよ
エクセル: はあ……女の子ですか……
レオン: 女の子〜
気持ちよく寝そべっていたレオンが、突然身体を起こした。
エクセル: ガートさんは、女の子が好きなのですねぇ……
ガート: そりゃあ、嫌いなワケないだろ?なあ?みんな?
レオン: 嫌いじゃないよお〜、姉さん以外は
K: 人間のどこがええんや?キャシールの方がええ
ガート: Kはキャシールの方がお似合いだよな。うんうん
K: 女学校のレイキャシール、かわいかったな〜
エクセルはそんな3人を立ったままぼうっと見ていた。
エクセル: ふむ… … 恋、愛……わたしには判らないです
レオン: そうなんだ〜。さみしいねぇ〜
エクセル: え?寂しくなんかないですよ〜
ガート: わかろうとしなくちゃ……
ガートランドは立ち上がると、エクセルの顔をまじまじと見た。
ガート: それも研究だ、研究。
エクセル: え?研究ですか?
ガートランドはうなずいた。
ガート: うんうん、いいこというなあ、僕。
エクセル: 女の子の研究……
ガート: おっ、興味が出始めたかな?
エクセル: でも……
エクセルは目をそらして下を向いた。
エクセル: 体毛とかフンとか採取してくれなさそう
ガートランドは額に手を当てると、へなへなと座り込んだ。レオンも半分起こしていた身体をがっくりとまた草むらに沈めた。
レオン: それはちょっと……
K: 阿呆か?
エクセル: わ、わたしは阿呆じゃないですよ〜
ガート: バカだな。研究バカ。
エクセル: え、研究ですよ、決まってます
K: だから阿呆なんや
エクセルは、プロト-Kをむぅ、とにらみつけた
レオン: そういう事じゃないと思うよ〜、心の研究だよ
エクセル: 心ですか……専門外ですねぇ……
レオン: 目に見えるものだけが研究対象じゃないよ〜
ガート: まあ、そのうちわかるようになるさ
エクセル: 今は、ドラゴンのフンを採取したいだけですねぇ
レオン: ……そっかぁ〜
レオンはそう言うと、水筒の蓋を開け、またお茶をすすった。ずずずという音が思いのほか大きく聞こえた。

少し間があいたところで、プロト-Kが尋ねた。
K: なんでフンやねん?
ガート: フン、なぁ……なーんかカッコ悪いよな
レオン: いいんじゃない?
エクセル: フンはその動物が何を食べているのか、健康状態までわかるのですよ。Kさんはフンなんかしないからでしょうけど……
レオン: すごいね〜。ドラゴンの健康診断だぁ〜
得意げに語るエクセルをレオンは尊敬のまなざしで見つめている。
K: あ〜、そか。がんばれよ
エクセル: ええ、頑張りますとも
エクセルは拳をぐっと握った。
レオン: じゃあ、行こうかぁ〜
K: おー
レオンが立ち上がると、皆も立ち上がった。そして、さっそく歩き始めた。
レオン: ドラゴン、どこにいるのかなぁ?
ガート: ああ、それは……僕達の行く手にいるのさ
レオン: なるほど……