勇気の証明

学校の友達にラグオル地表での冒険話を聞かされたガート君は、自分でも行ってみたくてたまらなくなり、とうとう近所の仲間と一緒に森へドラゴン退治に出かけました。

研究の問題

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4人は武器を持ってラグオル地表に降り立った。
ガート: さあ、ついた。がんばろう
エクセル: 検体、検体、ドラゴン〜〜〜♪
エクセルはしばらく空き地を走り回っていたが、やがて立ち止まって、ガートランドに聞いた。
エクセル: で、どこですか?
この質問に、ガートランドは自信満々の顔で答えた
ガート: 知らない
エクセル: えええっっ?
ガート: ま、そのうち着くだろう。すべての道はドラゴンに通ず!
レオン: とにかく、進んでみれば〜?
エクセル: そ、そうですか……
突然心配そうな顔になったエクセルは、ちらっとプロト-Kの方を見た。
K: んー、森の奥やろなぁ
エクセル: じゃあ、参りましょう
エクセルの顔にたちまち笑顔が戻り、一行は揚々と森の小道を進んでいった。


動物よけの柵を通ると、その先は獰猛な野生動物が濶歩する危険地帯だ。彼らの前に現れたのは大きな黄色い鳥、ラッピーだった。4人は武器を構え、猛然とラッピーに立ち向かう……はずだったが、実際にそうしたのは3人だけだった。
エクセル: あっ、ラッピーのフンが……
エクセルは、草むらに落ちているラッピーのフンを喜々としてシャーレに保存していた。そして、彼があたりを見回すと、ラッピーは既に逃げた後だった。エクセルは、肩で息をしている3人にレスタをかけた。
エクセル: れ、レオンさん、ケガが…
レオン: ありがとー
休む間もなく、森の奥からブーマが現われた。4人は手にした武器でブーマを殴りつける。ブーマごときに負ける彼らではなかった。

K: ふぅー
ガート: よし。さっそくブーマの死体の前で証拠写真だ
ガートランドが喜々としてカメラを構えている横で、レオンはしゃがんでいるエクセルの顔をのぞき込んだ。
レオン: だいじょうぶ〜?
エクセル: やっぱり殴られると、痛いです
といいつつ、エクセルは足元の土を何やらごそごそといじっている。
レオン: なにしてるの〜?
エクセル: よし!
エクセルは突然うれしそうな顔をすると立ち上がった。
エクセル: ええと……血とか、体毛を採取したのです
レオン: へぇー
ガート: 変な趣味してんなぁ
K: ノーコメントや
レオンは尊敬のまなざしでエクセルを見た。
レオン: 勉強熱心なんだね!
エクセル: わたしは研究がしたいだけなのです〜
ガート: 研究か! 結構、結構

写真を撮っていたガートランドが戻ってきた。みんなも一服が終わり、次の獲物を探し始めている。
レオン: さて、どこへ行けばいいのかな?
エクセル: それにしても……ドラゴンはどこでしょうねぇ
ガート: 道が2つあるな。どっちだと思う?
K: さぁー?
エクセル: そうですねぇ……
と言いつつも、一行はゆっくりと一方の扉の方に向かっていた。


扉の向こうには、狼の群れがいた。正確にはサベージウルフだ。 侵入者に気がつくと、にらみながらじりじりと間合いを詰めてくる。
ガート: 犬だ
エクセル: サベージウルフですねぇ
ガート: 犬か。犬をいじめてもなぁ……
エクセル: 母星の犬と同じく、群れをなして行動してますねぇ
エクセルは近寄ってくるサベージウルフを気にしながら、さっそく地面をごそごそ漁り始めた。もちろん他の3人はサベージウルフを殴りにかかっている。
エクセル: ふむふむ……
エクセルが何やら採取しようとしゃがんだ瞬間、後からウルフが襲いかかってきた。
エクセル: いたたた……
K: アホかぁー
すかさずプロト-Kが助けに回る。協力のかいあって、敵を撃退することができた。しかし、皆満身創痍であった。
K: ててて…
レオン: いたかったー
エクセル: はぁ、戦うのは苦手です...
ガート: 大丈夫か?
ガートランドは3人を見回した。
エクセル: ええ、なんとか…
K: ま、なー
レオン: だいじょうぶだよー
ガート: ま、ケガはつきものさ
レオン: 犬さんごめんねー
レオンは手を合わせる仕草をした。と、突然エクセルが走りだした。
エクセル: あ、こっちにも……
と、例のごとく草むらにしゃがみこんだ。
K: だー。よぉやるわ
レオン: 熱心なのはいいことだよ、ね!
そして何だかよくわからないものの入った袋を提げてにこにこしながら戻ってきた。
エクセル: たくさん集まりそうですねぇ……
ガート: よかったなぁ
エクセル: さぁ、ドラゴンです。ドラゴン。探しましょう〜〜
レオン: どこだろうねー
ガート: そうだな
するとプロト-Kが脇でぼそっと言った。
K: 勉強のどこがおもろいんやろ……
かなりの小声だったにも関わらず、エクセルは瞬間的に顔を上げた。
エクセル: モノを知ることに限りはないのです
ガート: なにを言ってるんだ。勉強はだなぁ、とてもとても大事なんだぞ
レオン: おもしろいよー
エクセル: ですよね!
と、エクセルは今日一番の大声で答えた。
レオン: 新しいことを知るのは楽しいよ
K: わてにゃわからへん。身体動かして旨い飯食って、寝れりゃそれでええやん
レオン: それも大事だよねー
ガートランドはプロト-Kに向き直った。
ガート: それでは偉い人になれないぞ
K: 偉くなって何がええんや?
レオン: 僕は偉くなくていいけどなー
ガート: なにがいい、って、そりゃ……偉いっていいよな?エクセル?
エクセル: え?はぁ……
エクセル: 偉いというのは……やはりたくさん色々な事を知ることですかねぇ…
やはり、知るということは知的活動の源泉である。しかし、キャストであるプロト-Kは、その面でも人間とは少し違っている。
エクセル: まぁ……Kさんはプログラムで覚えられますから
レオン: うーんそうなのか
エクセル: Kさんのプログラマー、どんな方だったんだろ……
K: プログラマー?
レオン: Kちゃんのパパのことだよ。
K: 組み立てからプログラミングまで今のマスター一人でやったらしいで
レオン: すごいねぇー。どんな人?
K: 無口、無愛想
レオン: でも、Kちゃんを作ってくれた人でしょ?きっといい人なんだねぇー
レオンはそう言うと、水筒から熱いお茶を出してずずずとすすった。

レオン: さあ、ドラゴンに会いに行くんでしょ?
レオンは水筒に蓋をして鞄にしまうと、こう言った。
ガート: ああ
エクセル: それはともかく、ドラゴンです!
レオン: 行こうよー
エクセル: 牙、鱗、フン……