勇気の証明

学校の友達にラグオル地表での冒険話を聞かされたガート君は、自分でも行ってみたくてたまらなくなり、とうとう近所の仲間と一緒に森へドラゴン退治に出かけました。

誇りの問題

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とある公園の昼下がり、プロト-K、レオン、エクセルの3人は、学校帰りにいつものように道草を食っていた。4人掛けのベンチに腰かけて、いつものようにとりとめもない話をしていた。いつもと違う所といえば、今日はベンチに空席があることである。

そして空席の主はというと、向こうの路地からなにやらぶつぶつ言いながらこちらへ向かってきていた。
ガート: くっそぉー……あいつら……
そして下を向いたままベンチの前を通り過ぎようとして、そしてふと足を止めた。
ガート: あっ、みんな
そしてレオンの横の空席に腰かけた。
ガート: クラスの友達がさ、昨日ラグオルの地表に降りてヒルデベア倒してきたんだとさ。学年中に自慢してるんだ。なあなあ、どう思う?
レオン: 別に……
エクセル: ヒルデベア……
エクセルはだれに言うでもなくそうつぶやくと、空を見上げた。焦点が合っていない。
ガート: 悔しくないのか!?
レオン: そうなのかなあ
ガート: 僕はものすごく悔しい! あんな奴らの上を行くんだ!

ガートランドは手を握りしめると、勢いよく立ち上がった。そして、ベンチに座っている3人の前に立った。
ガート: で、だ
エクセルは、はっと気がつくと、ガートランドの方を見た。
エクセル: は、はい?
ガート: ドラゴンをぶっ倒す!
K: おー
レオン: ドラゴン……
エクセル: はへ?
ガートランドは、目が点になっている3人を見回して付け加えた。
ガート: 異論はあるかい?
K: あらへん!
エクセル: ドラゴンか……
エクセルはまた空中を見上げ、なにやら考え事を始めた。そしてレオンはというと、周りをきょろきょろと見回している。
レオン: 大丈夫かなぁ……ドラゴンって、強いんだよねえ?
ガート: 僕達は最高のチームじゃないか。そうだろ?
レオン: そうだったんだー
K: せやねぇ
うんうんとうなずくガートランドとプロト-K、そして二人の勢いに押されるレオンをよそに、ベンチの一番端に座っていたエクセルは一人でぶつぶつうなっていた。
エクセル: ドラゴンの牙、鱗、排泄物………
K: 排泄物ぅー?
全員の注目がエクセルに向いた。エクセルはそれにやっと気がついた。
エクセル: あれ、どうかなさいましたか?
K: あー、なんでもあらへんわ
ガートランドは二人をじっと見て、改めて言った。
ガート: レオン、エクセル、いいか?
レオン: 僕にはよくわかんないけどー、みんながいいならいいよー
しかし、エクセルはきょとんとした顔をしている。
エクセル: はい、なんですか、ガートさん
ガート: おいおい、聞いてなかったのか?道理で目があっち向いてたわけだ
エクセル: え、ドラゴンのいろいろを採取に行くのですよね?勿論、同行しますよー
エクセルは微笑みながら言った。声が若干上ずっている。
ガート: よし、それでこそ男の中の男だ。さあ、話は決まった。さっそく行こう。
エクセル: はあ…色々研究出来ますね……
レオン: うん、みんなが行くなら行くよー
エクセル: ええ、参りましょう
K: あー、ほな、行こうや、な
ガート: よし、いい心がけだ
ガートランドは満足そうに大きくうなずくと、大きな自分の荷物を持ち上げた。
ガート: さあ、ドラゴンが僕等を待っている!
エクセル: ドラゴンの検体が!!
レオン: 待ってるんだ?じゃあ、あんまり待たせたら悪いねえー
心配そうな顔やいかにも嬉しそうな顔、様々な顔を見せながら、彼らは公園を後にした。