収穫はあったかな?
4人は、ラグオルのそこかしこにある謎の塔に出くわした。
ゼロ: ああ〜支柱だ
アスタシア: なになに?あ、これね。いつものやつ
リフル: なんですか……これ?
アスタシア: なんでしょう?
その塔を目の前にして、ゼロはにこにこ顔、ストライクは渋い顔をしていた。
ストライク: 気分が悪くなる
ゼロ: なんか力がわいてくるなぁ。もりもり〜って
アスタシア: 人によって反応が違うのよね
ゼロ: みたいですね。ひかりちゃんは、近寄るのもいやぁって怖がってましたもんね
この3人は一度一緒にこの塔を見たことはあるが、リフルはどうだろう?アスタシアはリフルに尋ねた。
アスタシア: リフルちゃんはどう?
リフル: ぇ、ぇとぇと……わかりません
アスタシア: そうよね。別になんともないよね
リフル: なんともないです……
アスタシア: わかんないなぁー。これがどうしたっていうのよ
アスタシアは柱をぽんぽん叩きました。
ゼロ: いつも以上の力が出せそうだよ。よーし、がんばるぞー
ストライク: 何か……どす黒いものを感じる……
アスタシア: うーん、わたしが鈍いだけなのかなぁ
リフル: あぅあぅ……
アスタシア: 気分が悪くなる人もいるみたいだから、早く離れましょう
アスタシアは急いで振り向くと、柱を後にした。
アスタシア: えーと、次はここかな?
アスタシアを先頭に足を踏み入れた先は、セントラルドーム前の広場だった。今ではここはブーマや狼を始めとする猛獣の巣になっている。アスタシアは何回もブーマの振り降ろす手の一撃を受けてしまった。手に杖でなく銃を持っているせいで攻撃を受け止められない。
アスタシア: あいてて。たまにがんばるとすぐこれだ
ゼロ: 慣れないことするからだね
ストライク: 無理はするな
アスタシア: でもまあそうも言ってられないからね。で、メイトかフルイドあった?
リフル: ぁ……ディメイトです
リフルが広場の隅にディメイトを見つけた。
アスタシア: リフルちゃん、持っていきなさいな
リフル: はい
ゼロ: い〜っぱい集めたよ。今渡すね
ゼロが鞄から次々にメイトとフルイドを手渡した。
リフル: ぁ、ありがとうございます。
アスタシア: どう?足りた?
リフル: ぇとぇと……
リフルはいち、にぃと数を数えて、首を振った。
リフル: あぅあぅ。まだまだです
アスタシア: まだまだなの?じゃあ……
アスタシアは通路の先をながめた。
アスタシア: でも、この先って……
ストライク: ああ、あれがいる
アスタシア: どうしよう?
ストライク: 行くしかあるまい
リフル: が、がんばりますっ
しかし、ゼロは、アスタシアが通路の先を眺めている間からすり足でこっそりと後ろに下がっていた。
ゼロ: わっ私は遠慮しときますよ〜
ストライク: 駄目だ
アスタシア: これもリフルちゃんのためです。ゼロさんはリフルちゃんを守ること。いいわね?
ストライク: 毒入りスープと爆弾、どっちがいいか、ゼロ?
ゼロ: え?えとえと、もちろん、リフルちゃんを守りますよ〜
ストライク: やれやれだ
ゼロ: 嫌だなぁ、みんな。私が逃げるとでも?
ゼロはどことなくぎこちなく笑った。
リフル: ぇとぇと……ゼロさん、よろしくおねがいしますっ
ゼロ: まっ、まかせて
ストライク: 行くぞ……
そんなゼロに後ろから一蹴り入れて、ストライクは通路の奥へと進んだ。
4人は大きな転送ゲートの前に到着した。
アスタシア: さてと。では、いよいよ準備はいい?
ゼロ: やはり行くんですか?
ストライク: 当たり前だ。
アスタシア: ゼロさんの任務は重大ですからね。心してかかってね
おどおどと腰が引けているゼロの肩をストライクがつかんで、蹴りを入れながら転送機に押し込んだ。周囲の風景が変わる。
ゼロ: どわ
ドームの中にはドラゴンがいた。その巨体は見る者を圧倒する。飛んだり、炎を吐いたり、はては地下に潜ったり。広いドーム内を縦横無尽に飛び回るその相手はさすがに手強かった。地中をモグラのように潜行するドラゴンの直撃を受けてアスタシアは倒れた。その直後にドラゴンは仕留められた。
地面の横たわるドラゴンを見つめ、息を整えながらさっきの戦闘を振り返る3人。3人!?
その時、ドラゴンの下から声がした。
アスタシア: いててて
リフル: だ、だいじょうぶですかっ!?
ストライク: 無事か……
ストライクが手を持って彼女を引きずり出した。
アスタシア: ん?あ、あぁ、ええと、なんとか生きてるみたい
ゼロ: 下敷き……よく無事でしたね
ストライク: ゼロじゃあるまいし……気をつけろよ
ゼロ: なんですか、それは
アスタシア: ご、ごめんなさい
ひたすら頭を下げるアスタシア
アスタシア: はあ、わたしってだめね
リフル: そ、そんなことないです
アスタシア: ありがとう。でもいいのよ
ストライク: あまり心配をかけなければそれでいい
アスタシアは広いドームをぐるり一周見回して言った。
アスタシア: さて、では最後の探索!
ゼロ: はーい
3人はそれぞれ別の方向に散った。しかし、アスタシアは真中でドラゴンの死体に腰かけていた。
アスタシア: あー、わたし節々が痛いからあとお願い
ストライク: ちゃっかりしてるな
ゼロ: もうそんな年ですか……
ゼロはあっと口を押さえたが少し遅かった。ドームは屋根がついていて音がよく反響する。
アスタシア: 違うの! 年じゃないの!
4人は森からパイオニア2へ戻ってきた。
リフル: ありがとうございました
ゼロ: いえいえ〜
ストライク: 依頼をこなしたまでだ
アスタシア: 少しはお役に立てたかしら?
リフル: はいっ
アスタシア: またご用がありましたらなんなりと。皆さん、いい?帰るわよ?
アスタシアは店に向かって走り出した。そして、気がついて振り向いた。
アスタシア: あー、リフルちゃんもちょっとお店に寄って休んでってくださいな
リフル: ぇと……おじゃまします
4人は店に戻って、大きなミーティングテーブルを囲んだ。
アスタシア: はいはい、どうぞ。さあ、お菓子もあるわよ。ささ、リフルちゃんもこっちに来て食べましょう
ストライク: 簡単な食事と暖かいスープだ。これでも食べて温まるといい
アスタシアが椅子を用意し、ストライクがキッチンから顔を出した。
リフル: ぁっ、ぇとぇと……いらいりょうです
リフルが机の上にマテリアルを3個置いた。それをアスタシアはうやうやしく頭に頂いた。
(おしまい)