何でも屋8: ささやかな依頼

リフルちゃんの悩みは、大好きなマグにあげる餌が売り切れてしまったこと。「何でも屋」の面々は、一緒に森に探しに行くことにしました。

ささやかな依頼

店のカウンターの前で、リフルはあまり興味のない品物をあちこち見回していた。正面にはアスタシアがいつもの様子で座っていて、店内のお客をじろじろ見つめていた。お客は一人しかいなかったから、要するにリフルをじろじろ見つめていたということになる。
リフル: ぇ、ぇとぇと……
リフルはようやく決心してカウンターの前に立つと、少し背のびをしてカウンターの向こうに話しかけた。
リフル: ぁ、ぁの、ぇと、なんでもやさん……モノメイトとモノフルイド……
アスタシア: モノメイトとモノフルイドがどうかしました?
リフル: アイテムやさん……わたしがたくさんかいすぎてしなぎれだそうです
アスタシア: あー、はいはい。欲しいのね
アスタシアは後ろの棚を見た。が、しかし、もともとこういうありふれた物はここではほとんど扱っていない。自分用の予備もなかった。
アスタシア: うーん、うちにも在庫ないなぁ
リフル: ぎゃくに、げんかでかうからもってきてっていわれちゃいました……まぐさんにごはんがあげられません……
アスタシア: そうよねー。困るわよねー。よし! 拾いに行きましょう
リフル: は、はいっ! ぇとぇと、おねがいします……
アスタシア: まかせといて。リフルちゃんもくる?
リフルはこくこくとうなずいた。
リフル: メイトとフルイド、150こずつひつようです……それでも、1じかんでなくなっちゃいます
アスタシア: えー、そんなに!?
アスタシアは驚いた。そんなに大量にはさすがに準備できない。でも、少しでも足しになればいい。


アスタシア、ストライクとリフルの3人は森へのゲート前に集まった。そこに、あわててゼロが走り込んできた。
ゼロ: ちこくちこく〜っと
アスタシア: さて、皆さん、準備はいい?行くわよ
4人は転送ゲートの前に集合した。

アスタシア: 今日の目的はとにかくメイトとフルイドを集めることだからね。いい?
ゼロ: ほーい。集めればいいのね
リフル: ょ、よろしくおねがいしますっ
ゼロ: このゼロ君にまかせなさいです
アスタシア: 無駄に使っちゃったりしたらだめよ
アスタシアとストライクはゼロの方を向いた。
ゼロ: 使うなって……もしかしてわたしに言ってませんか?
ストライク: あたりまえだ……
アスタシア: 他にだれに?
ゼロ: そんなぁ、こんなにも優秀なのに〜
ゼロの目にはみるみるうちに涙があふれてきた。
ストライク: 泣いても無駄だ……
リフル: あぅあぅ……げ、げんきだしてください
リフルは心配そうな顔でゼロを見上げた。
アスタシア: まあ、行き先は森だからそう苦労はしないでしょう
ストライク: そんな奴を励ます必要はない……行くぞ
リフル: は、はいっ
ストライクはそう言うとさっさと転送ゲートに入っていってしまった。
アスタシア: あ、行きます、行きます。ほら、リフルちゃんも行こうね
ゼロ: あっ、待ってくださいよ〜
ゼロは夢中で走って追いかけた。そして転送ゲートの段差に足を引っかけた。バランスを崩してよろけゲートの縁の低い手すりにつかまったが、こらえきれずに結局尻もちをついた。
リフル: だ、だいじょうぶですかっ
リフルは転送の途中でゼロに気がついたが、そのまま森へ転送されていってしまった。
ゼロ: いちち、鼻打ったあ……ああ〜、みんないないし……
ゼロもあわてて森へ向かった。


Captured Image
リフル: あぅあぅ……ゼロさん……こないです
アスタシア: 遅いわねぇ
3人が森で待っていると、しばらくしてゼロが到着した。
アスタシア: あ、やっと……
ストライク: 遅い……
ゼロ: みなさん、おいてかないでよ〜
アスタシア: 遅い方が悪い!
ゼロ: うう……みんなが速すぎるんですよ
リフル: あぅあぅ
アスタシアとストライクの冷たい調子に、リフルは少しとまどったようだ。
アスタシア: さあ、気合い入れて行くわよ
リフル: は、はいっ
ゼロ: おお〜
ゼロは元気に拳を振り上げた。


アスタシア: さてと、ないかなー?
ブーマを一掃して、4人はさっそく草むらをかきわけます。
ゼロ: ないねぇ
リフル: おちてないです
アスタシア: ま、そうそう都合よくは行かないか。レアアイテムじゃないから、いくつもあるとは思うんだけどなぁ
リフル: あぅあぅ……
ストライク: ともかく次だ……
ストライクはさっさと次の扉に向かった。
アスタシア: 次見てみましょうよ
ゼロ: うん、そだね