何でも屋7:ブラックペーパー秘密基地

今日はストライクが直に依頼を持ってきました。ブラックペーパーの基地の壊滅が目的です。そのころ、ゼロは……

監視

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アスタシア: ここもおしまいね
敵を一掃してアスタシアは一息ついた。
なつめ: 素手ならデータ取れまい
ストライク: 取られるぞ……
なつめ: 肉体能力が?
ストライク: ああ……
アスタシア: いいじゃん、後ろで見てれば
なつめ: うーん、どうしようかなぁ……退屈でしかたがないよ、見てるだけなんて
アスタシア: 我慢なさい
ストライク: 最悪、自分の分身と戦う事になる……
なつめ: とほほ……それはつらい。あたしたちは孫悟空じゃないんだから
なつめはとても残念そうだった。だから、アスタシアの右手に銃を発見すると、ひときわ大きな声を上げた。
なつめ: 戦うなって言って、元締めも武器持ってるじゃん!!
アスタシア: わかりました。外します。でもさぁ、これだといざって時に……
なつめ: ごめん。言いすぎた。持つだけならいいでしょ、ストライクさん
ストライク: ああ……
アスタシア: 銃ならいつも使わないやつだし……
そういっていったんしまいかけた銃をまた手にした。


なつめ: あのさぁ、ストライクさん、データとられない方法ないの?
ストライク: 無い……
なつめ: つまんないのー
なつめは明らかに欲求不満だった。意味もなく部屋を駆け回ったかと思うと、部屋の壁を蹴飛したりしていた。
なつめ: もうがまんできなーい
アスタシア: あぶないわ。やめときなさい
なつめ: うううっ、つまんないのー
なつめはあくびをした。
なつめ: ムキーッ!! イライラするっ!!
アスタシア: もう、落着きがないんだから
なつめ: あたしの中では退屈=死なんだから。ムキ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!
アスタシア: あー、やっかいな身体してるのね
声: くっくっくっ。戦ったらどうですか。おちびちゃん
突然天井からまた声がした。
なつめ: ストライクさん、奴に会ったら息の根止めようよ
ストライク: いいぞ……
声: できますかな?あなたたちに?
なつめ: ほら、ストーカーみたいに監視してるし、性格ひねくれてるのね。これじゃ一生独身だわね。ったく……
ストライク: どちらにしろ細胞の一かけらも残すつもりはない
アスタシア: またまた……派手な……
声: ははっ、これは面白い。この私を殺せると考えてるとは実に愉快だ。はっはっは
なつめ: 笑ってるよ。どっかいかれてるんだよねぇ
アスタシア: まあ、ああいう連中はね


一行はとうとう奥へ続く転送ゲートを見つけた。
なつめ: 転送装置があるよ。ここに爆弾しかけてとっとと帰ろーよ
ストライクは鞄から爆薬と信管、そして起爆装置を取り出した。慎重に爆弾をセットする所を二人はじっと見守っていた。
なつめ: あと質問!!
ストライク: なんだ…?
なつめ: 最初ストライクさんが言ってたなんとか龍って何?
アスタシア: ああ、そんなことも言ってたわね
ストライク: 忍龍か……裏世界でBPと対立する組織だ……
アスタシア: う、裏世界だったの?ストライクさんも……
なつめ: へぇ……正義の味方ってとこ?
ストライク: そうだ。正義ではないな。BPに復讐するために集まった組織だ……
なつめ: 逆恨みしてる人の集会なのね
ストライク: 逆恨み……そうかもしれん……
アスタシア: BPは悪い奴なんだからいいの

ストライクが爆弾の設置を終わって立ち上がった。
なつめ: じゃ、行こう!! 行って鼻をへし折ろう。そうでないとあとでつんつんに攻撃しそうで怖い
アスタシア: やつ当たりはやめましょうね


転送ゲートの先の部屋には例の男が立っていた。
ゼロ: ほほう、もうここまで来たのですか。さすがですね
なつめ: あっ、いたのね。あんたの実力が足りないんじゃないの?
ゼロ: まあ、あの程度でやられたりしてはこちらが困ってしまいますがね
なつめ: これごときのバリケードで倒れるあたしたちじゃないわっ!!
ゼロ: 気の強いおちびさんだ
男はふふふっと笑った。
なつめ: えへへ……っておい!
アスタシア: なつめちゃんも変な事言って挑発しちゃだめよ
ストライク: 目的はなんだ……
なつめ: 金?女?
ゼロ: さあ、なんでしょうかね?
なつめ: とぼけてるよ。ホントはど忘れしてるんだ
なつめとは対照的にストライクは真剣な顔つきだ。
ストライク: 強化兵のデータはすべて消したはずだ……
ゼロ: あなたが消したのはほんの一部分のデータですよ。我々には痛くもなんともない
ストライク: ふん……そのわりには俺のクローンを警備につかせていたな
ゼロ: あれ、実験ですよ
ストライクがじりじりと前に出て、男と向きあう形になった。なつめとアスタシアは男二人の後ろに位置している。二人は後ろでひそひそ話を始めた。
なつめ: そっくりさんがいるの?ひかりちゃんとあたしみたいに
アスタシア: さあ?よくわからない
なつめ: なんか、あたしたち蚊帳の外だよね
アスタシア: その方が幸せな時もあるのよ
ゼロ: そんなことはないですよ
男は突然後ろの話に割って入った。
アスタシア: えええっ!!
ゼロ: きっちりデータとしてとらせてもらいましたから
なつめ: ん?何か言った?そんなのデータにしてもつまんないだけだよ
ストライク: そうか、なつめ……
ストライクはなつめに目くばせをした。
ストライク: 殺れ
なつめの目がキラーンと光った。散弾銃を取り出すと、待ってましたとばかりに撃ちまくる。逃げまどうアスタシア。
アスタシア: わわわ
さすがに、ストライクとなつめの2対1では男に分はなかった。ほどなくして男は倒れた。
なつめ: はぁ、はぁ
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しかし、男はまたもや起き上がってきた。手でぱんぱんと埃を払う。
ゼロ: なかなかやりますね。でも、まだまだですよ
なつめ: 倒しても倒してもはいあがる、まるでゾンビみたい……
なつめの脳裏に突然あるイメージがひらめいた。
なつめ: このぬけ顔、つんつんだ〜〜!!
アスタシア: ゼロさん?そんなわけないでしょ
なつめ: だって本人は押し入れで寝ているもんね。つんつんのそっくりさんだぁ
ゼロ: ゼロ?だれだね、それは
男は眼鏡を直しながら言った。
ストライク: お前の事だろ……ゼロ
ゼロ: さぁ、知らんな
なつめ: だから、ストライクさん、つんつんとは違うって。こっちの方がつんつんよか顔がマシだよ
アスタシア: だいたい、ゼロさんがBPなんかで勤まるわけが……
なつめ: 世の中って似た人がたくさんいるよねぇ

ストライクが突然、一歩踏み込んで男の顔に切りつけた。しかし相手の反応も速く、刃は眼鏡と帽子をかすって空を切った。
ゼロ: おっと、いい太刀筋ですね。ふふふっ
男は斜めになった眼鏡をかけ直した。
ゼロ: さてさて、私にはやらなくてはいけない仕事があるのでね
アスタシア: 何をするっていうの?
なつめ: 無駄っぽいけどがんばってね
ストライクが撃ち出した衝撃波を軽くかわして、男は部屋から出ていった。
アスタシア: あ、いっちゃった…
なつめ: ホントに三下の悪役だね
ストライク: 追うぞ……