何でも屋6: PSOをしよう

今日は仕事ではなく、気分転換に4人で遊びに行きました。目指すはゲームセンターで最近人気の体感ゲーム「PSO」。戦闘アクション物でプロが負けるわけにはいきません。

遊びに行こうよ

時刻はもう夕方、場所はいつもの店の奥のテーブル。皆、テーブルを囲んで長いティータイムをとっていました。
アスタシア: どうしたの?なつめちゃん
なつめ: ひかりちゃん、試験大丈夫かなぁ……
アスタシア: 大丈夫。大丈夫よ。きっと。
なつめ: あれから姿現さないし……
なつめは紅茶をまた一口すすりました。

アスタシア: そうそう、それより、今日のお仕事
アスタシアは突然思い出したように言いました。全員が注目します。
なつめ: そうだったそうだった
アスタシア: 実はないんです
なつめ: あららぁ……
なつめは目の前のティーカップを見つめてぽつりと言いました。
なつめ: 不況の風がここにも……

しかし、アスタシアは明るい顔で言いました。
アスタシア: 暇だし、遊びに行かない?
ゼロ: わーい
なつめ: うん!! でもそれって、今日の給料無しになるんじゃないの?
ストライク: 俺は別の仕事があるんだが……
ストライクは急いで席を立とうとしました。
アスタシア: えー、ストさんにはぜひ来て欲しいのに……
なつめ: いいや、たまには遊ぼうよ!! たまには息抜きも肝心だよ
ストライク: あ、ああ……

ストライクがためらいがちに席に戻ったところで、アスタシアは話を始めました。
アスタシア: あのね、ゲーセンに新しく入った、「PSO」って体感ゲームがあるんだけど
なつめ: 何の略?
アスタシア: さあ?
アスタシアはそんな事には興味ないというように素気なく言って、話を続けました。
アスタシア: 本物そっくりの戦闘を体感できるんですって
ストライク: ほぉ……
なつめ: だったら本物すればいいんじゃないの?
アスタシア: 本物だと痛いじゃない
ストライク: 素人には危険だろう……
なつめ: んじゃ、痛くないってわけ?
アスタシア: もちろん
アスタシアは大げさにうなずきました。笑いながら。
アスタシア: ああいうとこにわたし達が行って、プロの技を見せつけるの
なつめ: 素人に格の違いを見せつけるのか……
アスタシア: ね?ね?どう?いいアイデアでしょ?
ゼロ: えっと……素人に負けたらどうするんですか?
アスタシア: だからストさん連れてくんじゃない
ゼロ: あっ、なるほど
アスタシアはストライクの方に向き直りました。
アスタシア: ね?いいでしょ?
ストライク: 好きにしろ
アスタシア: わーい。じゃ、さっそく……
アスタシアはうれしそうに手をたたいて立ち上がると、さっそく上着を手にしました。
ゼロ: がんばるぞ〜
アスタシア: どんなのかなー。わくわく


Captured Image

ゲームセンターに着いた4人は、さっそく「PSO」のシミュレータ機械の中に乗り込みました。
アスタシア: なんか変わったところだねぇ
ストライク: ふむ……
なつめ: ただ変わってるだけじゃん

各自、武器セレクトで好きな武器を選択します。
ゼロ: 武器はこれにしよーっと
アスタシア: あ、なつめちゃん、面白そうな武器だ
なつめちゃんが選んだのはピコピコハンマーでした。
なつめ: へへ〜〜、おもちゃだもんね
アスタシア: いいなー
なつめ: へへへぇ
全員を確認して、アスタシアは通路の前に立ちました。
アスタシア: さて、準備はいい?
ストライク: ああ……
ゼロ: OK
なつめ: いいよー
全員の返事を聞くと、アスタシアは勢いよく駆け出しました。
アスタシア: ゴーゴー!
なつめ: とつげき〜〜


Captured Image
入った先は、石畳の暗い部屋でした。敵が続々出てきますが、剣の一閃でバタバタと倒れていきます。なかなか壮観でした。
アスタシア: ふふ、ちょろいちょろい
なつめ: なんだい。たいしたことないじゃん
ストライク: 思ったより弱いな……
アスタシア: まあ、そりゃ、一般向けですからね
ストライク: 所詮ゲームか……
なつめは突然思いついたようにゼロを呼びました。
なつめ: そうだ、つんつん
ゼロ: なんですか?なつめさん
なつめ: おもろい武器貸してあげよっか?
アスタシア: なんだろ?
なつめ: つんつんにぴったりだよ
ゼロ: ぴったり?なんだろう

なつめが渡したものはマラカスでした。そう、マラカスです。シャカシャカ振るあれです。
ゼロ: なんですかこれ
なつめ: マラカスだよ。見た目派手なつんつんにぴったりだよ
ゼロ: そんなぁ
アスタシア: あ、面白ーい。なんかどっかの芸人みたい
なつめ: え?芸人じゃないの?
ゼロ: 芸人……かっこ悪いよ〜
なつめ: ほら、ロデオでいうピエロみたいなものだよ
アスタシア: かっこいいよー
アスタシアはにこにこ笑いながら言いました。
ゼロ: ピエロですかぁ。なつめさんひどいよ〜 うう
ゼロの目に涙がたまってきました。
なつめ: そうかなぁ?ストライクさん、つんつん、似合ってるかなぁ?
ストライク: 阿呆らしい……
なつめ: 似合ってるってさ
ゼロ: そんなこと言ってないじゃないですか
アスタシア: そいじゃ、行こうよ。行ってラスボスとっちめようよ
抗議するゼロにお構いなく、なつめは先へ進んでいってしまいました。