何でも屋5: 謎の研究

注意:今回はオンラインクエスト「明日の代価」に関するネタバレが含まれています。

意外な結末

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四人が入ったのは、両側に奇妙なシリンダー状の装置が並んでいる部屋だった。端末が所狭しと置かれている。警告灯の不気味な赤色が照明がわりである。
ストライク: なつめ……暴れろ……
アスタシア: 火を吹いてるけど……
それは、単に壊れた装置から煙が出ているだけではなかった。定期的に床から円筒状の物が飛び出し、文字通り炎を投げかけてくる。小さい身体では直撃は一大事だ。

中心部に行くほど炎は激しく飛んでくる。最初に中心部に突進していったなつめが倒れ、そしてアスタシアも直撃を受けて倒れた。そして、ストライクまでもが。
ゼロ: わわ、皆さーん
ゼロは遠くで三人の様子を見ていた。しかし、テクニックが使えない身だ。アイテムを鞄から出している暇もない。中心部は炎が激しくうずまいている。ゼロは思い切って中心部に近づいてみた。しかし、そこにちょうど炎が飛んできて……


ストライク: まさかメギドとは……
なつめ: あいたたた……
アスタシア: はっ、ここは?病院?
気がつくと、パイオニア2の病院のベットで寝ている自分に気がついた。横を見ると、同じようにベッドに入っているなつめとストライクが見えた。
なつめ: いったい何があったの?
アスタシア: あ、ストライクさん、なつめさんも
なつめ: みんな大丈夫?
ストライク: ああ……
アスタシア: そういえば、大きさも元に戻ってる……
なつめ: でもくやしいなぁ。小さくなったつんつんを拉致して人形遊びに使いたかったんだけどなぁ

なつめは小さく笑った。アスタシアも緊張が解けた様子で部屋を眺めていたが、今話題にのぼった人物が心配になった。
アスタシア: ゼロさんは!?もしかして!?
アスタシアはベッドから跳ね起きた。すると、向かいのベッドの中から、逆立った髪の毛の先がちょこんと突き出ていた。
アスタシア: あっ、いたいた。よかった。
なつめ: おーい、つんつーん
なつめは毛布をつっついたが、反応がなかった。よほど疲れていたようだ。
なつめ: おーい、おきろ〜〜〜〜!! 起きないと噂ばらまくぞ
ゼロ: うーん。むにゃむにゃ
ゼロはつつかれた個所を手で払いのけながら、また毛布の中にもぐった。
なつめ: ちっ、脅しても起きないや。つまんないのー

アスタシア: えーと、さっきまで何してたんだっけ?
なつめ: なにしてたんだろ?覚えてないや。いい夢を見た気分だよ
アスタシア: 身体がなぜか小さくなって……その前は……
ストライク: 後続隊に助けられたようだ……そこの看護婦に聞くといい
アスタシア: そうだ! お仕事だ!
ぼうっとしていた顔が一気に緊張した顔に変わった。
アスタシア: うわぁー、こりゃまずいなぁー。ちょっとギルドに行ってきますね
アスタシアは慌てて部屋を後にした。


アスタシア: えーと、ごめんなさい。お仕事の途中で全員倒れちゃって……
アスタシアはギルドのカウンターの女性に話しかけた。でも、その女性は何のことだかさっぱりわからないという顔をしている。
アスタシア: え?依頼ですよ……知らない?なんで?
カウンターの女性は、さあ、と言うように首を振った。そして、それっきり自分のディスプレイに視線を落とした。


病室の扉が開くと、アスタシアが入ってきた。
アスタシア: あれっ?ストライクさんは?
確かに、いつのまにかストライクの姿はなくなっていた。
なつめ: 脱走……かな?よくわかんなーい。元締め、どうしたの?
アスタシアは、はっきりしない表情をしていた。うれしいわけでも悲しいわけでもなく、何か狐にでも化かされたような、そんなぽかんとした表情だ。
アスタシア: 依頼なんて知らない、ですって
なつめ: そんな依頼ないって!?
アスタシア: もう、何が何やらさっぱりわからないわ。依頼だった、よねえ?
なつめ: うん、はっきり覚えてるよ。なんだったんだろ?
アスタシア: 知らぬ存ぜぬの一点張り。
なつめ: 夢でも見たのかなあ?
アスタシア: なんか不思議な体験だったし……
なつめ: うん、でも楽しかったよ
アスタシア: まあいいわ。変な夢でも見たんだわ。きっと。
すると、毛布の中からうなり声が聞こえた。
ゼロ: うーん、もうおなかいっぱいでたべれないよ〜、むにゃむにゃ
アスタシア: うーん、どうする?ゼロさんを。
なつめ: つんつんもこれだけ寝言いえたら大丈夫じゃないかな?ほっとこうよ
アスタシア: 帰ろっか

帰り際に、出入口の前で受付の女性に呼び止められた。何か言おうとする相手より先に、なつめはこう言った。
なつめ: おねーさん、入院費はそこの男性が払いますから、んじゃ、よろしく〜

(おしまい)