何でも屋5: 謎の研究

注意:今回はオンラインクエスト「明日の代価」に関するネタバレが含まれています。

研究所の秘密

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なつめ: なんかあるよ
アスタシア: なになに?今度は?
先行していたなつめの声を聞いて、皆がそこに急行した。
なつめ: ゲートが見えるよね
アスタシア: 行ってみましょう
なつめ: つんつん、これで入っても大丈夫かな?調べて……
ストライク: 安全だ
なつめが言い終わらないうちにストライクが言った。
ゼロ: 安全だって
なつめ: なら安心なんでしょうね
ストライク: 下手にゼロに触られたら壊れる……
ゼロ: うっ、前のこと根に持ってる〜
ストライク: 当たり前だ
ゼロ: あれは事故ですよ〜。私のせいじゃないです
ストライク: 知らん……
アスタシアはさっさと転送機に乗ると、中から言った。
アスタシア: ああ、言い訳はいいから、行きましょう


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転送機の先は、扉が一つある小部屋だった。扉は閉まっていて、しかもロックされていることを示す赤いランプが点灯していた。そして、その前にセキュリティー装置があった。
なつめ: なんじゃこりゃ
なつめは持っていた槍を高々と振りかぶった。
なつめ: うりゃっ!!
ストライク: 待て……
槍の先が装置に直撃した。バシッという音とともに装置に大きなV字溝ができ、そして目の前の扉の赤いランプが開錠を示す緑に変わった。
なつめ: 壊しちゃった
アスタシア: 開いたわね
ゼロ: 力技ですか……なつめさん
ストライク: 結果オーライだが、もう壊すな……
なつめ: コンピュータ壊すのが仕事じゃないの?
ストライク: ホストコンピューターだ
なつめ: あれポストじゃないの?
アスタシア: ポスト?さあ?
なつめは首をひねっていたが、突然槍を振り回し始めた。
なつめ: 手あたり次第壊しちゃえ!!
ゼロ: だっだめですよ〜、なつめさん
ストライク: 次……壊したらゼロと同列だぞ……
アスタシア: それやるとロクな結果にならないこともあるのよ
なつめ: そうなの?
なつめは手を止め、意外そうな顔をして振り向いた。
なつめ: テレビが写らなくなったらチョップかまさないの?
なつめはきょろきょろと3人の顔を見た。しかし、どの顔も厳しい表情だった。
なつめ: やらないみたいだね
ストライク: やってもいいが……それで戻れなくなったらどうする……?
ゼロ: あはあはは。やっぱり、みんな、根にもってるぇ
ストライク: 正論を言っているだけだが……?
アスタシア: 壊れたものには何やってもいいけど、壊れる前のものにはやっちゃいけないの
なつめ: そうなんだあ。壊れる前のものは壊しちゃいけないんだね
アスタシア: そうそう。よく考えれば当たり前よね
アスタシアはうなずいた。
なつめ: ってことは、ポストコンピュータは壊れてるってこと?
ストライク: ホストだ……それに、あれは壊していいモノだ……
なつめ: でもあの白服のおじさんは壊しちゃだめだって言ってたよ。どっちなんだろ?
アスタシア: どっちなんでしょ……
アスタシアとなつめは顔を見合わせた。
ゼロ: えっと、仕事は壊すことですよね
ストライク: 依頼優先だが……依頼主はいけすかん……
アスタシア: まあ、情報がないから今は決められないわね。行ってみてから考えましょうよ


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アスタシア: うわあ
扉が開くと、ものすごい音が地響きを伴って耳に飛び込んできた。大きなハンマーが所狭しと並んでいて、その向こうに別の扉が見えた。下手に立ち止まると、上から落ちてくるハンマーでぺしゃんこだ。
ストライクはそんな中を平然と駆け抜けた。アスタシアは何度かハンマーの落ちてくるタイミングを見はからって、やがて決心を決めて一目散に駆け抜けた。
アスタシア: ふう。抜けられた。

ゼロも同様に渡ろうと一歩を踏み出した。しかし、上からハンマーが降りてくるのに気がついて慌てて逆戻りした。幸いつぶされはしなかった。
ゼロ: わたれないよ〜、こんなの〜〜
ストライク: 早くしろ……
すると、既に向こう側に渡っていたなつめが、激しいハンマーの上下動の隙をついて戻ってきた。
なつめ: つんつん、あたしについてって
ゼロ: うっうん
ゼロの手を引いて、なつめは通路を駆け抜けていった。あまり速すぎないように気をつけて。ゼロは一回ハンマーにかすったが、大怪我はせずに通り抜けることができた。
なつめ: ほら、渡れたじゃない
ゼロ: なつめさん、ありがとです
アスタシア: みんな無事ね。さあて、次へ……
アスタシアはなつめとゼロを見てにっこりすると、次の部屋へ向かった。


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なつめ: だれかいるよ
そこには水色の服を着た女性が一人で立っていた。短いスカートをはき、頭には丸い帽子をちょこんと載せていた。
女性: あら、こんな所で何してるの?もしかしたら、実験の被験者ね……
アスタシア: 実験?
なつめ: このねえちゃんヘソ出してるよ。寒くないのかなぁ?
ゼロ: って、なつめさんもでしょう
なつめ: う゛っ!!

ストライクはその間に奥のセキュリティー装置をいじっていた。
ストライク: セキュリティーを外す……
アスタシア: またここにも……厳重だこと
ストライクがセキュリティーを外すと、左側の扉のロックが外れた。アスタシアもストライクの後ろに立った。ゼロは両方の扉の真中に立っていた。
ゼロ: 右は行かないの?
アスタシア: あとでね
なつめ: だってさ
ゼロ: あ〜い

4人が左側の扉をくぐると、柵がまず目に入った。
なつめ: 行き止まりだね
アスタシア: あららら
ストライク: 駄目か……
なつめ: 右行こう!!
ゼロは扉の前で勝ち誇った顔でふんぞり返っていた。
ゼロ: ふふ〜ん
なつめ: 右が正しい道だとは限らないからね
アスタシア: はあ、ゼロさんもたまには正しいこと言うのね
ゼロ: あぅ、たまにって……


なつめ: 壊したーい!!
なつめは、槍を持ったままセキュリティ装置に突進していった。
なつめ: うりゃー!
なつめが槍を振りかぶったところ、突然、ズドーンと大きな地響きがあった。
アスタシア: なになに?さっき揺れなかった?
なつめ: 地震じゃないの?
ゼロ: ああ〜〜
アスタシアとゼロが追いついてみると、既になつめとストライクが装置の前に立っていた。そして、装置からは煙が噴き出していた。
なつめ: いいなぁ。ストライクさん壊しちゃった。うらやましいなぁ
アスタシア: 壊れた?
ストライク: ああ……
アスタシア: あららら。ま、仕方ないわね。なつめさん、もっとやっていいわよ
なつめ: わーい!!
なつめが喜々として槍を振り回している横で、ゼロは不満げだ。
ゼロ: なんで、ストライクさんのは、壊れた、で、私のは、壊した、なの〜
アスタシア: なんでかなぁ?信頼の差、かなぁ?
なつめ: もしくは人格
ゼロ: あぅ、みんなひどいや
なつめ: でもそんなつんつんが好き
ゼロ: えっ

一同の手が止まった。ついでに言葉も止まった。視線はなつめに向けられた。ゼロの顔が赤くなった。
ゼロ: えとえと……
アスタシア: ひゅーひゅー
なつめ: いやーね、Likeですよ。Loveじゃないよ
アスタシア: まあ、いいのよ。内緒にしておくから
ストライク: ともかく先だ……

しかし、その先もまた柵で行き止まりになっていた。
アスタシア: おしまい?
ストライク: そのようだ……


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あちこちを行ったり戻ったりして、いたずらに時間が過ぎていった。
ゼロ: ふう、つかれた……
ストライク: ……また人だ
見ると、さっきと同じ風貌の女性が一人立っている。
アスタシア: あらら?前と同じところ?
女性: 今度は思い切って一人旅ってのもいいわね。冒険もそうじゃない?

女性はぼうっと部屋の隅に立っていた。4人はその女性と別れて、さっそく噂話を始めた。
なつめ: このヘソ出しねーちゃんは孤独が好きらしい
ゼロ: 一人旅かぁ
アスタシア: わざわざ一人で旅に出たいなんてねぇ
なつめ: つまり、男がいない口実だよ
ストライク: 一人旅も悪くはないが……
アスタシア: うんうん、ストライクさんには似合いそう
ゼロ: なつめさんはどうなの?やっぱり、一人?
なつめ: ううん、多人数
ゼロはふふ〜んと感心したような声をあげた。
なつめ: 赤信号、みんなで渡れば恐くない、って言うじゃん。つまり多人数だと何をしてもいいってことだよ
ゼロ: 恐いですよ〜
ストライク: いいわけなかろう
なつめ: 民主主義の原則だよね
ゼロ: 数の暴力じゃないですか、それ
ストライク: 多人数なら、人を殺してもいいのか?いいわけなかろう……
ゼロ: えっと、なんでこんな話になったんだろ?
4人は一瞬考え込んだ。
なつめ: 一人がいいってこのヘソ出しが言うからだよ
ストライク: ともかく次だ……

4人が歩き出したところで、なつめは突然立ち止まった。
なつめ: ひとりがいいって事は……ちょっとまった
アスタシア: なに?突然
なつめ: 試しに、この先は一人で行ったほうがいいんじゃないかなぁ?そんな気がするんだ
アスタシア: 一人で?わかったわ
なつめ: んじゃ、トップバッターはつんつんだね
ゼロ: ええ〜〜、私は一人は嫌ですよ〜
なつめ: 肝試しのつもりでいけば恐くないよ
アスタシア: 一人で、ってのは心配だなぁ

すると、ストライクがすっと輪から外れた。
ストライク: 俺が行く……
アスタシア: あっ
声をかける暇もなく、彼は扉の奥に消えていった。
ゼロ: ストライクさん行っちゃった
アスタシア: まあ、ストライクさんなら心配ないけど……
ゼロ: でも、わからないよ〜、いつ何が起こるか……
アスタシア: やっぱり皆で行った方が良かったような……
なつめ: ストライクさんなら大丈夫なんじゃない?
アスタシア: まあ、そのうち帰ってくるでしょう

3人はそこでしばらく待つことにした。その間、ゼロは部屋の隅をこそこそ歩き回っていた。
ゼロ: へへ、武器見つけちゃった
見ると、ゼロは黄色い刀身のセイバーを手にしていた。
なつめ: つんつん、似合わなーい
ゼロ: ええ〜〜、似合うでしょう
アスタシア: さっきまでの武器よりはマシかもね
なつめ: やっぱケインが似合うよ
ゼロ: そっそう、うん、ケインだよね
ゼロはそう言うとケインにまた持ち換えた。
なつめ: でも、似合う似合わないのと強い弱いは別だからね
アスタシア: ゼロさんいは弱いのがお似合いってこと?
なつめ: そんなこと行ってないよー
ゼロ: 私はよっ弱くないや〜
ゼロはそう言うと、また部屋の隅をうろうろしだした。
ゼロ: ここにも武器みっけ