その後
ストライクはパイオニア2内の病院に運ばれた。彼がベッドに寝ている病室に、アスタシアとゼロが心配そうに入ってきた。
ストライク: 解った……風邪だそうだ
ゼロ: へぇ、ストさんが、風邪かぁ
アスタシア: なあんだぁ
ストライク: 3日ほど入院だ……
アスタシア: 風邪とはいえ、こじらせると大変ですからね
その時、ダークが病室に入ってきた。
アスタシア: あ、ダークさん、おかえりなさい
ダーク: ……で?
アスタシア: 風邪だったんですって
ゼロ: 3日間入院なんだ
ダーク: フッ……これもアホか
ダークは誰にも聞こえないような小さな声で言って、にやりと笑った。
アスタシア: 風邪だからってバカにしないでね
ゼロ: 毎日見舞いにいかなきゃね
ゼロはベッドの脇から離れて、顔が見られない部屋の隅に行くと、くすくす笑い出した。
ゼロ: ストさんが、風邪〜〜
ダーク: 俺はここまでだ。……じゃあな
背後でダークの声がしたので気がついて振り向くと、ダークはすでに病室を出ようとしていた。
アスタシア: ぜひご一緒になにか……
ゼロ: あっ、行っちゃった
アスタシアが声をかけた頃にはもう扉は閉まっていた。
アスタシア: ああいうとこはだれかさんに似てるわね
ゼロ: うんうん
しばらくして、アスタシアはベッド脇の椅子から立ち上がった。
アスタシア: いったん戻るわね。お大事に。抜け出しちゃだめよ
ストライク: わかっている……
ゼロ: 僕ここで遊んでいく〜
ストライク: 病院は遊ぶ所じゃないぞ
アスタシアも部屋から出ていった。
病室備え付けのスクリーンでは、今日のニュースが放映されていた。
キャスター: では、次は坑道の爆破事故についてお伝えします……
ゼロ: あっ、あそこって、僕達が行ったところ
ストライク: なるほどな。あいつか
ゼロ: なにがなるほどなんですか?
ちょうどその時、女性の声と同時に扉が開いた。
アスタシア: さあて、苺のタルト買ってきたわよ
ゼロ: わーい! 食べる〜
アスタシア: あら、ゼロさんまだいたの?
ゼロ: あぅ……ふん、どうせ僕は邪魔者ですよ〜
アスタシアは声をたてて笑った。ストライクもシーツをかぶったその中で笑っていた。
アスタシア: ふふふ、冗談冗談。ちゃんと3つあるわよ
ゼロ: アスタシアさんのいじわる〜
ゼロはあかんべーをした。アスタシアはそんな彼を横目でちらりと見ながら、ストライクにタルトを手渡していた。
アスタシア: あ、いらないのね。わかったわ
ゼロ: わわ、うそうそ、うそですぅ
アスタシアは笑いながらゼロにも手渡した。
ゼロ: わーい
アスタシア: ストさんもこれ食べて元気つけてね
ストライク: ああ……
(おしまい)