無理は承知
ストライク: はぁ……はぁ……
ストライクは荒い息をついていた。部屋の先は……敵ではなかった。
ストライク: 回復装置だ……
ゼロ: 回復装置だって
アスタシア: あ、入りましょう
ダークはその間、ストライクの様子をじーっと見ていた。
ゼロ: ストさん、なんかへんだよ。顔色よく……
ゼロがストライクのまわりをくるくる回っていると、ストライクは彼にパンチを繰り出した。
ゼロ: あう、いてえ。なにするんですかぁ
ストライク: いくぞ
ゼロ: いたいよー
アスタシア: 仲間割れはやめましょうよ
ダークはうなずいた。
アスタシア: あ、なんかある
柵で囲った中にコンテナがいくつも置いてあった。ストライクが柵のスイッチを切ると、アスタシアは中に入っていった。
アスタシア: って普段なら大喜びなんだけど、この緊急事態ではなぁ
ゼロ: うん、持って行けないよ
アスタシアはふと寂しそうな表情を見せた。
アスタシア: はぁ……本当に帰れるのかしら……
ゼロ: 不安になるじゃないですかぁ、そんなこと言ったら
ストライク: ともかく……次だ……
ダークはうなずいた。今は泣き事を言う場合ではない。
アスタシア: あ、ごめん。行きましょう。それしかないわ
ダーク: 急ぐぞ
通路を歩いていると、上から見慣れない大型ロボットが降りてきた。青くスリムな身体から繰り出される攻撃は今までのロボットとは比較にならない素早さだった。
ゼロ: どわぁぁ
しかし、全員の協力でなんとか倒すことができた。
ゼロ: はぁはぁはぁ、テクニックは疲れます
アスタシア: やっぱりあんな小さいロボットだけじゃないのね
ストライク: はぁ……はぁ……はぁ……
荒い息をしているのはゼロだけではなかった。
ゼロ: ん？やっぱり変だよ
正面からじーっとのぞき込むゼロに、ストライクはパンチを繰り出した。
ゼロ: あ痛! うう、心配してるのに〜
ストライクはモノメイトを一気に飲み干すと、また武器をかかえた。
ストライク: 行くぞ……
ゼロ: ストさんも頑固だなぁ。やれやれ、世話がやける
ストライク: お前に言われたくはない
ダークもうなずいた。
ゼロ: ああ〜〜、なにダークさんまでうなずいてるですかぁ……
ダーク: フッ
通路を抜けるとそこはコンテナが置いてあるがらんとした部屋だった。
ゼロ: なんだここは……
ゼロが箱を開けると、中から出てきたのはアイテムではなく敵だった。
ゼロ: わわ、箱から敵が隠れてたのか
アスタシア: 敵が隠れてる？なんでこんなことを……
この仕掛けは一行を驚かせた。が、冷静に対処すれば、各個撃破ができるためかえって楽だった。
アスタシア: みんな、調子はどう？
ゼロ: 僕はいいけど……
ダーク: ……問題ない
しかし、あと一人からの返事はなかなかなかった。
ストライク: はぁ……はぁ……
ゼロ: ストさんが……
アスタシア: ストさん？
全員の注目がストライクに集まった。
ストライク: いつも通りだ……
アスタシア: ほんとに？
ストライク: ああ……
ゼロ: 嘘はよくないよ〜
ダーク: 強がりを
ダークは誰に言うともなくぼそりと言った。ストライクは、そんな彼の言葉を聞かなかったかのように歩き出した。
ストライク: 行くぞ……
ゼロ: ええ〜、いいんですか
アスタシア: ほんとに大丈夫かなぁ……
ゼロ: 体調崩してますよ、あれは
アスタシア: やっぱりそう？
ゼロは力強くうなずいた。
アスタシア: ストさん頑固だから……
ゼロ: ですよねぇ
アスタシア: ふう、あとどれくらいかなぁ。ダークさんはここらあたりの事詳しいの？
ダーク: ……いや
アスタシア: あら、そうなの……
アスタシアは残念そうにダークを見た。
ダーク: エネルギー回復装置か……
ダークは壁に設置された機械に自分の銃をつなぎ、エネルギーが充填されるまで静かに待った。
アスタシア: ダークさん、なにか？
ダーク: ……待たせた
アスタシア: なんか知らないけど終わりました？
ダークはうなずいた。
アスタシア: じゃ行きましょう
ダーク: 急ごう
ストライク: ああ
ダーク: 雑魚が……
出現する敵はたいしたことはなかったが、それでも数だけは多かった。
アスタシア: さてと、ここはここで終わりみたいですけど……
ダークはうなずいた。ストライクは向こうで荒い息をしている。
アスタシア: こんなのがいつまで続くのかしら……はぁ、本当に出口なんてあるの？
ダークは眉をよせた。この雰囲気は決して好ましいものではない。
ダーク: 急ごう
ゼロ: いろんな意味で急いだ方がいいかもですね
アスタシア: は、はい
一行はその部屋を急いで後にした。
通路の先は転送ゲートのある小部屋だった。
アスタシア: あった! ゲートだ!
ストライク: ビンゴ……
アスタシア: やっと帰れる!
ゼロはゲートのまわりを見回した。
ゼロ: よかった。これは壊れてなかったみたいですね
ストライク: 行こう
ゼロ: ささ、壊れないうちに行きましょう
全員が転送装置に乗り込むと、景色がさっと変わった。
ダーク: ……無事か？
転送装置の上には4人の姿が見えた。しかし……