ひかりの登場
3人は洞窟の入口に着きました。
アスタシア: さあ、準備はいい?
なつめ: う、うん、だから、あたしは……
ゼロ: こっ、心の準備が……
ゼロはさかんに深呼吸をしています。なつめは何か言いかけましたがまたもアスタシアにさえぎられました。
アスタシア: 目的は、洞窟の奥深くに住むデ=ロル=レって巨大な怪物なの
ゼロ: 怪物!!
アスタシアはやっと何かを言いたそうにしているなつめに気がつきました。
アスタシア: なに?ひかりちゃん?
なつめ: なんでもない、なんでもないっす!!
なつめはさかんに首を振りました。
アスタシア: 嫌がっててもしょうがないでしょ
ゼロ: あっ、ひかりちゃん、怪物こわいんだぁ
なつめ: こ、こわくなんかないもん!!
ゼロ: くすくすくす、そうなの……
ゼロは笑っています。
アスタシア: 今日はストライクさんを呼ぶ暇もないから、ひかりちゃん、一人で前衛お願いね
というアスタシアの言葉も聞かず、なつめはとことこと駆け出して行きました。
アスタシア: そうそう、今日中に取ってこいだって、無茶いうわよ、クライアントも。
ゼロ: あっ、ひかりちゃん 待ってよ〜。ひとりだと危ないよ〜
アスタシア: あらら。追いかけるわよ
2人も追いかけて行きました。
そのころ、臨時休業の札がかかったお店に一人の女の子がやってきました。こちらが本当のひかりです。
ひかり: うわ〜〜〜〜ん、だいちこく〜〜〜
ひかりは店の前で立ち止まりました。
ひかり: あれれえ?お店しまってる
持っていた合鍵で中に入ると、いつものミーティング用テーブルの上に書き置きがありました。
書き置き: 今日は急な依頼で洞窟に行ってます。留守にしますのでよろしく
ひかりは誰もいないのに思わず大声を出しました。
ひかり: え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ひかりを置いて2人で洞窟に〜〜〜〜〜〜
そして、書き置きを机に戻すと大急ぎで準備をし始めました。
ひかり: うわあ、早く行かないとぉ。ストライクさんもいないのにフォース2人で大丈夫かなあ
なつめ: おらおらぁ
なつめは両手に小剣を持って洞窟の敵に果敢に向かっていき、あたりの敵を一掃して荒い息をつきました。
なつめ: はぁ、はぁ
ゼロ: 大丈夫?ひかりちゃん
アスタシア: よおし。みんな大丈夫そうね
なつめ: かたはらいたいわぁ。ナイス援護です。でもそれ以前にあたしは…
アスタシア: いつもよりなまけてるんじゃない?ひかりちゃん
アスタシアはなつめをじろじろ見て言いました。
アスタシア: いつもの長槍どうしたのよ?
なつめ: なぎなた?わかったよぉ
アスタシア: ええ、いつも使ってたじゃない
なつめはしぶしぶ持っていたなぎなたを取り出した。
アスタシア: そうそう、それでこそひかりちゃんだわ
ゼロ: あっ、ひかりちゃん、なまけてたぁ。ずるい〜、僕もなまける〜
不満げななつめを後目に、アスタシアは満足そうに言いました。
アスタシア: そういう大きなのでバッタバッタとなぎ倒して、後衛に楽をさせるのが前衛のつとめなのよ
なつめ: わかったよぉ
そして、なつめは目の前の2つの出口を交互に見比べました。
なつめ: んで、どっち?
アスタシア: ゼロさん! どっち?
なつめ: そこのツンツン頭、お願い
ゼロ: えとえとえと、こっちかな?
そして、その先は小部屋になっていて、転送機がありました。
アスタシア: さあ、行ってみましょう
ゼロ: わわ、待ってよ
ひかり: 急がないと〜
ひかりは、お店から街の転送機までの道を猛スピードで走っていました。
ひかり: あ〜〜、急いだからマグ忘れたぁ
しかしそのまま転送機に入っていきました。
ゼロ: うわわ、こっちこないでぇ
ゼロはシャークを後に引き連れてあてどもなく走り回っていました。その間になつめが割って入りました。
なつめ: 大丈夫?
ゼロ: うう、いたい、殴られた
ゼロは目に涙をためていました。
なつめ: 男なんだからしっかりしてよぉ
アスタシア: もうそろそろ痛いのにも慣れないとね
なつめ: お父さんにも殴られたことないの?
ゼロ: お父さんいない……
この言葉でアスタシアとなつめの表情がさっと変わりました。
アスタシア: あら、そうなの……
なつめ: ごめんね、悪いこと言っちゃった
ゼロ: ううん、平気だよ
ゼロはつとめてにこにこ顔をしました。
アスタシア: そういえばゼロさんの家の事情は全然知らないわ
ゼロ: えとえとえと
ゼロは言葉をつまらせました。
アスタシア: ま、いいですけどね。仕事をしっかりしてくれれば。
ゼロ: うっうん
アスタシア: でも相談なんかにはのるわよ。いつでも言ってね
なつめ: お金は貸せないけどね
ゼロ: うん、ありがと♪