何でも屋2: ボーナスをもらおう!

政府から突然、緊急の依頼が舞い込みました。アスタシアは慌てて全員を召集し、急いで現場に向かいます。なんと、ボーナスまで大盤振舞いしちゃうとか。

それぞれの想い

通路の先で待ち構えていたのは、見慣れない青いロボットだった。大型で、均整のとれたプロポーションをしており、他の機械たちとは一線を画していた。幸い、現れた瞬間にストライクが不意打ちをくらわせたため、あっさり倒すことができた。
ひかり: なにこれ〜、なんなのお、この青いのお! なんかすっごく殺気を感じたよお
アスタシア: さっさと倒しちゃったからよくわからなかった。さすがストさんね。
ゼロ: ぜぇぜぇぜぇ
ゼロは急激な運動で疲れたのか、苦しそうに息をしていた。
ゼロ: なんだよさっきの、聞いてませんよ〜〜
ひかり: こわかったあ
アスタシア: わたしも聞いてないわよ
ゼロ: ストさんがいてよかったあ
ゼロはストライクの方を見て、ほっとひと息ついた。
アスタシア: ボーナスあげないよ
ゼロ: あう

ひかり: でもでもおお、ゼロさんもがんばらなきゃ
ひかりはにやにや笑いを浮かべて言った。
ひかり: 恋人さんがいるんでしょ。いいとこ見せないとね。ふふふ
アスタシア: えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、そうなのぉ?
ゼロはきょとんとして言った。
ゼロ: いないですよ〜、恋人なんて〜
ひかり: 今度Wデートすって噂聞いたよお
ゼロ: 知らないよ〜、そんなこと〜。誰かと間違ってるよ〜
ひかり: デマだったのかあ。ラグオル新聞ってあてにならないなあ
アスタシア: なあんだ、違うの?期待したのに……
ひかり: ちなみにこれこれ
ひかりはポケットから新聞の切り抜きを見せた。皆がのぞき込んだ。
ひかり: ほらぁ
ゼロ: 違うじゃないですかぁ。ハンターですよ、この人。僕フォースだよ。
ストライク: 違うな……
ひかり: あ、ほんとうだあ。ひかりの早とちり
ゼロ: もう

ひかりは新聞の切り抜きをしまった。自然とゼロの方に視線が向いた。
ひかり: そかあ、じゃあがんばって恋人探してね。ふふふ
アスタシア: でもゼロさんにも本当は恋人いるんじゃない?
ゼロ: うっ、みんなひどい〜
ストライク: そのゼロは少なくともこっちより腕が立つな……
アスタシアはむっとした顔で言った。
アスタシア: あんまり腕のことばかり言うんじゃないの。人間強さがすべてじゃないのよ
ひかり: え〜、ゼロさんもがんばってるよお。なんか凄い精神力感じるしい。その武器からかなぁ。
ゼロ: てへへ
ひかりはまたゼロの持つスティングティップを見つめた。
ゼロ: うっ、僕のオーラ
ひかり: フォースとしてひとかわむけたって感じ
ゼロ: えっへん

ストライク: 強くなければ生きていけない世界もある
ストライクはぼそりと言った。ゼロは首をかしげた。
ゼロ: なにか、言いました?
ストライク: いや、別に……
ゼロ: そう……ですか
アスタシア: そうやって気を詰めてばかりじゃ窒息するわ。たまには羽をのばしてね
ストライク: ああ……
アスタシアは自分の言った言葉の意味に気がついて、あわてて付け加えた。
アスタシア: あっ、でも今じゃないわよ。今はびしっとお仕事するんだからね
ストライク: わかっている……
ひかり: ストさんも趣味で遊んだらいいよ。ひかりはおやつ食べるのが趣味〜
ストライク: 趣味などないが……
アスタシア: あららあ……
ひかり: そうなの?趣味があると楽しいよお

ゼロが後ろから口を出した。
ゼロ: ひかりさん、太っちゃうよ。食べすぎると。
ひかり: うん、実は……あ……
ひかりは何かを言いかけたが、はっと気がついてやめた。
ひかり: 秘密なのにい
ゼロ: あはは
アスタシア: ゼロさんも、女の子にそういうこと言わないの。いっちばん気にしてることなんだから
ゼロ: あーい
ゼロは気のない返事をした。
ゼロ: てへへ、おこられちゃった
アスタシア: アドバイスよ、アドバイス

ひかりはうーんと伸びをすると、武器をつかみ直した。
ひかり: 頑張ってお仕事してダイエットするぞお
ゼロ: ダイエット〜


部屋はいつものごとく暴走機械でいっぱいだった。四人はそれらを片っ端からなぎ倒していった。ハンターは武器で、フォースはテクニックで。暴走機械の動きのパターンもだいぶ分かってきて、戦いやすくなった。

部屋のすべての機械の動作を停止させた後は、緊張が一瞬ほぐれる時間でもある。ゼロは自分のメモに坑道の地図を書き足していた。機械の残骸を前にして、ひかりは誇らしげに言った。
ひかり: えっへん。ひかりちゃん、えらーい! どう?
アスタシア: ええ、絶好調ね。今日は。ボーナスって言うだけでこうも違うのかしら
ひかり: あはは
ゼロ: あわわ
ゼロはあわてて行き先を指し示すと、さっさと部屋を出ていった。

廊下を進んでいくと、また暗い部屋に出くわした。ここの部屋は暗いだけで敵はいなかった。
アスタシア: あ、暗い
ストライク: 暗いな……
この時、ゼロの悲しげな叫びが部屋に響きわたった。
ゼロ: みなさ〜ん、どこ〜。くらいよ〜
ひかり: こっちにスイッチ〜
そして、爆発の音が響きわたった。その後しばらくして部屋の明かりがついた。
アスタシア: あ、ついた
ひかり: いたああ! 全部の罠にひっかかった!
ひかりは部屋の奥から駆け寄ってきた。
ひかり: もう明るいよお
ゼロ: ほっ
その時、ゼロは部屋の隅でうろうろしていた。
アスタシア: ゼロさん?あ、いたいた。大丈夫?
ゼロ: えとえと、だっ大丈夫……です
アスタシア: 頼りない声が聞こえたけど…
ゼロ: あはあはは、大丈夫ですよ
ひかり: まだ武者ぶるい〜?
アスタシア: ふーん、ほんとかな。暗闇はきっとまだいくつもあるわ。今のうちに正直に言っておいた方が……
ひかり: うんうん
ゼロ: ええ〜〜
ゼロはまたため息をついた。
ゼロ: はぁ