何でも屋17: 病院にて

お医者さんは首をひねったまま出ていってしまいました。何か他に変わった事があったら知らせてほしい、とのことでした。わたしはもう十分変わった事だらけだと思うのですが、これ以上変わったらどうなってしまうのでしょう。

なつめさんはごみ箱の凹んだ所を眺めていました。そしてしばらくして、今度はゼロさんの枕元に座りました。ゼロさんはなつめさんが来たのにも気づかず、相変わらず天井を向いて寝ていました。なつめさんはゼロさんの両肩を持って揺すり始めました。

それでも揺する腕は止まりません。

なつめさんはがっかりした顔で、ゼロさんから手を離そうとしました。その時、彼女は何かに気がついたようです。

どうやら、ゼロさんが何かをつぶやいているようです。

ゼロの頬を一筋の涙が伝いました。

ひかりさんは自分の背中をさびしそうに見ながらぼそりと言いました。

私が次の言葉を言いかけようとした瞬間、ゼロさんがまたうわ言のように口を動かしました。声はかすれて小さかったものの、物音一つしない病室には大きく響きました。

わたし達3人はゼロさんを見ました。苦しそうな顔をしていました。目は閉じたままで、顔はこちらではなく真上を向いていました。

わたしは自分で言った事を後悔しました。本当なら皆を元気づけなくてはいけない立場なのに……。

また重苦しい沈黙が続きました。それを破ったのはまたゼロさんでした。

ひかりさんが枕元に座ったのを見届けて、わたしはストライクさんの横に座りました。ゼロさんとは違って、ストライクさんはまだ身動き一つしていませんでした。

なつめさんは一人行き場を失って、二つのベッドの間をひっきりなしに歩き回っていました。