何でも屋16: 後悔

あの出来事の後、ゼロを見た者は誰もいない。

結果

数時間が経ち、ゼロの入っていった部屋の『手術中』のランプが消えた。扉が開いて、看護婦や医師たちが後片付けに走り回っていた。
なつめ: 先生、つんつんの具合は……
アスタシア: どうでした?
医師: なんとか命だけはとりとめたが……
医師はそこで言葉を切って、視線を下げた。
なつめ: が?先生、どうしたっていうの!?
医師: 目をさますかどうかは保障できん
医師は首を振った。
なつめ: なんで、なんでだよっ!
医師: 行きるという力が肝心なのじゃよ
なつめ: 生きる力?
医師: 生きようとすることじゃ。何があったのかわしにはわからん。とにかく目をさますかどうかはあの少年しだいじゃな
なつめ: 今は絶対安静なのね?
医師: もちろんじゃ
アスタシア: とにかく、治療の方はお願いします
ゼロは眠ったまま集中治療室へ運ばれた。二人はもう一つの手術室の上のランプに目をやった。
なつめ: 元締め、ストライクさんの方はまだかなぁ?
『手術中』のランプは薄暗い廊下をあかあかと照らしていた。


それからさらに一時間後、ストライクの手術室のランプが消えた。扉が開き、医師が出てきた。
アスタシア: どうでした?
医師: 命はなんとか……しかし彼はもともと無理な肉体改造をしていました。
なつめ: 無理な肉体改造とおっしゃいますと?
医師: 毒物に対するためのものですね。彼の内蔵から大量の毒物が見つかりました。何より疲労が激しい。恐らく、しばらくの間は目をさまさないでしょう
アスタシア: でも……でも、助かるんですね!?
医師: いや……このまま二度と……そういう事も考えられます
アスタシア: ええっ!?
数人の看護婦に付き添われ、ストライクのベッドが集中治療室へ運ばれた。眠っているストライクの顔を見て、アスタシアがぽつりとつぶやいた。
アスタシア: きっと大丈夫よ。だってストさんだもの。

(つづく)