何でも屋15: 決着

アスタシアがいつものように店に出てくると、ストライクさんが置き手紙を残してどこかへ消えてしまいました……

そして

アスタシア: ひかりちゃん!?
戦いの余韻から我に返ると、そこには倒れたままのひかりがいた。2人は駆け寄った。ひかりの中から声がした。
声: ストライクよ……聞こえるか?お前が憎しみの鎖を断ち切るというのなら、一度だけ、いや、最後の力を使ってやってもいい。僕はかつてお前に深い憎しみを抱いていた、アレスだ。憎しみの連鎖はどこかで断ち切らなければならない。そのために最後の力を使う
ストライク: いいだろう
ひかりの身体が輝き、美しい翼が生えた。そして、犠牲になった子供たちの肉体が還元されて、怨霊は憎しみを失った笑顔で天に帰った。そして……
ひかり: う……ん
ひかりは目覚めた。
アレス: ストライクよ、これで僕の最後の気持ちを忘れないでくれ
ストライク: ああ
アレス: じゃあ……ひかりをよろしく
ゼロ: それは‥ゼロに言ってやれ
ひかりの背中の翼が消えていった。ひかりが起き上がると、3人に子供たちが駆け寄った。
アスタシア: よかったぁ
ひかり: わわわ、いったい、どうしたのこれ?
アスタシア: わたしにもさっぱり
ストライク: アレスのおかげだ
ひかり: そっか、これで……明日……ううん、今日から楽しい未来のために生きるんだよね
アスタシア: とにかく、終わった……のよね?帰りましょう。とても疲れたわ
ストライク: ああ
ひかりは立ち上がった。
ひかり: ゼロさんは……どこかな?
アスタシア: さあ?先に帰っちゃったのかな。
アスタシアは街への転送ゲートに向かって歩き始めた。あとの二人も自然とついていった。
ひかり: そっか……ゼロさんも、きっと元に戻ってるよね
ストライク: あいつとも……決着をつけないとな……
彼がこう言うとき、唇の端が上がっていた。


3人は無事に街へとたどりついた。
ひかり: じゃあ、早速おいしい料理でも食べたいなぁ、ストライクさ〜ん
ゼロ: 早速仕度し……よ……
言葉を言い終わる前に、ストライクは道端に倒れてしまった。
ひかり: ストライクさん、しっかりしてええ
アスタシア: だ、大丈夫?
あわてて様子を見たが、既に意識がなかった。
アスタシア: ベッドに寝かせましょう
ひかり: うんうん、よいしょっと……重いよぉ
2人はストライクを担ぎ、店のベッドまで運んだ。その間、ひかりは何かを見たような気がした。
ひかり: あれれ?ゼロさん、ドアの前で見たような気がしたんだけどなぁ。気のせいなのかなぁ
アスタシア: 疲れてるのよ。わたし達ももう寝ましょう
ひかり: うーん、このまま寝かせておいていいのかなあ。病院に釣れていかなくてもいいのかな
アスタシア: 大怪我ってわけでもなさそうだし、気疲れでしょう
ひかり: じゃ、看病はまかせたよ〜。愛情が一番の薬だしね
アスタシア: 今日はわたしも他人の心配をする余裕はないの。おやすみ

ひかりは店を出て帰途につきながら、翼のあった所をやさしくなでた。
ひかり: ありがと……


ゼロは何でも屋を名残り惜しそうに見ていた。その時、3人が帰ってくるのが見えた。ゼロは急いで隠れた。
ゼロ: 僕はもうあそこには戻れないよ……
ゼロは後ろを振り返らないようにして、ただ前に進んだ。行くあてもないまま。