何でも屋14: お見舞い品のベストチョイス

入院しているひかりちゃんへのお見舞い、何にしようかなぁ

つかのまの安息

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ブーマや狼などの、森の動物と戦う一行。明るい森に、ひときわ明るい閃光がほとばしる。狼の体内から現れたそれによって、敵はバタバタと倒れていった。
なつめ: しかし……さっきからぴっかぴっかとまぶしいなぁ
アスタシア: だれの仕業?
なつめ: ストライクさん
なつめは即座に答えた。
アスタシア: またストさんか。森の動物くらいちょちょいのちょいなのに……
ストライク: 無駄に追いかけている暇はない……
アスタシア: いいじゃないの、少しくらいゆとりを持ってのんびりやれば
ゼロ: なんでフォースのわたしを疑わないんですか〜
なつめ: ごめーん、つんつんは補助系って感じがするじゃん。どっちかというとさ
ゼロ: まぁそうですけど〜。それに、あんなテクニック使えないし
なつめ: いつかは覚えられるよ
ゼロ: うう〜、いつ覚えられるのかなぁ
なつめ: いつの日かね
アスタシア: ゼロさん、がんばってね
なつめ: あたしも応援するからさ
ゼロ: がんばる〜、てへへ
アスタシア: でもまあ、敵を倒すだけが能じゃありませんから。レスタだって大切なテクニックですよ
なつめ: 味方を笑わすのも芸の内だよ
ゼロ: だって、あれ覚えたら暗闇平気かなぁって
アスタシア: あ、なるほど
アスタシアは妙に感心していた。しかし、ストライクはそんな仲間を見ながら別の事を考えていた。もちろん声には出さなかったが。
ストライク: (いつか……こいつらとも別れなければ……)
なつめ: ストライクさん、なんか寂しそうだよ
ストライク: 何がだ……?
アスタシア: え?ストさんが?よくわかんないけどなぁ。ストさん、いつもあんな顔してなかった?
なつめ: 微妙に違ってたよ。気のせいかなぁ。
アスタシア: そっか。ストさん、どうしたの?なんかあったら何でも相談にのるわよ
ストライク: 何でもない……
アスタシア: まあ、わたしに相談しても仕方ないかも

ゼロ: よし、いちご取るぞ〜
ゼロの掛け声でまた一行は奥へと進んだ。

猛獣達との戦闘が終わって、円形に散っていた4人はまた集合した。その時、ゼロがレスタをかけた。以前10回に1回しかかからないと言っていたレスタだ。
なつめ: あっ、うまいじゃないのよ。すごく上達してるように見えるよ
ゼロ: えへへ。この前ね、冴さんって方に教えてもらったの〜
なつめ: なぬ!?あのバカか!?
ゼロ: 親切ないい人だったよ
なつめ: あたしにはちょっかいしか出さないのにさぁ
ゼロ: ちょっかい?
なつめ: すぐに人の頭をはたくのよ。フォースのくせに
ゼロ: あはは。そうなんだ〜。全然そういう風には見えなかったけどなぁ。どちらかというといいお姉さんって感じだったなぁ
アスタシア: そう見えなかった?案外ゼロさんの目は節穴なのかも
ゼロ: ええ〜〜そうなんですかぁ

ゼロは冴との依頼の後のことを思い出していた。
ゼロ: でも、あの時は大変だったなぁ
なつめ: あのときって?
ゼロ: なつめちゃんすぐ寝ちゃうんだもんなぁ。
なつめ: ああっ、見知らぬ客から酒飲まされてさぁ、そのあと覚えてない
ゼロ: アスタシアさんの相手大変だったんだよ
アスタシア: え?わたし、何かした?
アスタシアは、いきなり自分の名前が出てきた事が意外だとでも言うようだった。
ゼロ: うんうん、ストライクさんは、こうなってしまったらもう無理だ〜って言ってたし
アスタシア: わたし、気がついたら寝てたもんなぁ
ゼロ: ベッドまではストライクさんが運んでくれたんだよ〜
なつめ: う〜ん、覚えてないなぁ。前にうちに来た客、どっかで見たことあるんだけどなぁ〜
アスタシア: なつめちゃんの知り合いだって言ってましたよ
なつめ: へぇ。身内にいないよ、そんなの
ゼロ: ええ〜、冴さんって方ですよ〜
なつめ: なにぃ!?来てたのか!?
ゼロ: 来てたのかって、あの女の方ですよ〜
なつめ: ちっ、元締め、ごめんね〜。あたしの友人が迷惑かけちゃって
アスタシア: 気付いてなかったのか。仕事を持ってきてくれたのでありがたかったです。
ゼロ: そういえば、わたしのこといろいろ話しているみたいですね〜〜
皆の視線が一気に冴に集まった。
なつめ: ううっ!!
アスタシア: あーっ、そうそう。なつめちゃん、なんでもかんでも話してるって
ゼロ: それも、すっごく楽しそうにって言ってたよ〜。皆知ってるって
なつめ: だって冴にしか話してないもん!!
アスタシア: そういう話をする時には相手をよく見た方がいいわよ。口が軽いかどうか、ね
なつめは目に見えておろおろしていた。
なつめ: そうなの?ご、ごめんなさ〜い
アスタシア: それでさぁ、わたしとストさんの関係はなんて話してるわけ?
なつめ: 冴って恋愛に飢えてるから
アスタシア: なんか聞き捨てならないような事を冴さんが言ってたような気がしたなぁ
なつめ: あうあうあう
その時、ゼロが急に奥を指さして言った。
ゼロ: そうだ。いちごいちご〜。早く行きましょ〜
なつめ: そ、そうそう!! ストライクさんも瞑想してないで行こうよ
なつめとゼロは駆け出していってしまった。
アスタシア: あ、なんで話題変えるのよ! 待て〜


アスタシア: 森の奥〜小川もあるし……
森もかなり奥までやってきた。アスタシアは草の陰や岩の裏を探し始めた。
なつめ: セントラルドームにあるって聞いたけどここにもありそうな気がするよ
アスタシア: なんだ、ここじゃないのね
アスタシアは急に手を止めて、スカートの土を払い、がっかりした顔で戻ってきた。
ゼロ: 違うみたいだね
その時、なつめが急に大きな声を上げた。
なつめ: あっ!!
アスタシア: なになに?
なつめ: み〜〜っけ!!
なつめが指差した先には、ぽつんといちごが生えていた。
アスタシア: あった!
なつめ: でも1個しかないよ。あと3個いるよ
アスタシア: でも、ほんとにこれ?
ストライク: ふむ……これだな……
なつめ: 色も赤いし
アスタシア: んじゃ、一個は確保、と
アスタシアは大事にいちごをタッパーにしまった。
なつめ: よしっ!! 次へ行こう
アスタシア: 森を探せばちゃんとあるってことね。よーし、見つけるぞ〜

4人は森のさらに奥へ通じる転送機に入った。