ラグオルへ
アスタシア: うーん、森はいつ来ても気分がいいわね
森は快晴、暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい気候だった。
なつめ: んで、ストライクさん、いちごはどこにあるのよ?
ストライク: セントラルドームの近くらしいな……
アスタシア: あれ?ストさん、行ったことあるんじゃないの?
ストライク: 行ったが見つからなかった
アスタシアは急に元気をなくした。
アスタシア: そうなんだ……じゃ、今日は見つかるかなぁ……
ゼロ: 見つかりますよ〜
なつめ: 見つかるよっ!! 見つかるまで帰らないっ!!
アスタシア: そんな、ないかもしれないのに……
なつめ: 見つかるよ、うん!!
なつめは強い語調で言った。
ゼロ: 今日のなつめちゃん気合い入ってる
ストライク: 最低でも4つあればなんとかなる
アスタシア: よし、じゃあ、行きましょうか
なつめ: 行くぞ〜〜!!
ゼロ: ちょっと待ってよ〜
アスタシア: ふう
なつめ: こんなに動物がいるのか……
森は相変らず猛獣でいっぱいだった。
アスタシア: まあ、森くらいならなんとかなるよね
なつめ: なんとかなるよっ!!
アスタシア: 安心安心
アスタシアは満足そうにうなずいた。
ゼロ: はじめの頃に比べたらなんか大丈夫みたい〜。はっ、私成長してるのかも
アスタシア: それだけ経験を積んだってこと
ゼロ: てへへ
ゼロは照れくさそうに笑った。
一行はどんどん先へ進んだ。なつめが特に急いでいた。しばしば後ろの三人が見えない所まで先行した。
ストライク: なつめ……
なつめ: ごめん、先行き過ぎた。
アスタシア: そんなに急がなくてもいいのよ
なつめ: 早くいちごを見つけたいんだよ!!
ゼロ: あせらないようにね。なつめちゃんまで怪我したら……
ぜろは目に涙をためた。
なつめ: ご、ごめん……だから、泣かないで
ゼロ: あい
ゼロは今度はにっこり笑った。
一行は開けた通路に出た。そこには紫色でぶよぶよした奇妙な袋があった。
ゼロ: これかなぁ、いちご
なつめ: なんか不気味〜
アスタシア: 違う違う。もしかして、色で判別したの?
ゼロ: 何か吐き出したぁぁ! 虫だ〜〜〜あっちいけ〜〜
ゼロが袋をちょいとつっつくと、中から巨大な蚊のような虫が出てきた。大きさは尋常じゃない。羽を広げると1メートルほどもあった。
ゼロ: きゃぁぁ、追いかけてくるよ〜
アスタシア: 変につっつくから……
なつめ: 少なくともあれはいちごじゃない!!
ゼロ: そっそうだね
ストライクは冷静にフォイエを放った。虫と奇妙な袋は焼きつくされた。
ゼロ: ありがと〜、ストライクさ〜ん。うるうるうる、恐かったよ〜
なつめ: よしよし
なつめはゼロの頭をなでた。
ストライク: 泣くな……うざったい
ストライクは吐き捨てるように言った。
ゼロ: だって〜〜ほんとに恐かったんだよ〜〜
アスタシア: まあまあ。そもそも、ストさんってどうしてゼロさんにだけ冷たくあたるのかしら
なつめ: 冴も同じこと言ってたよ
ストライク: 軟弱なのが嫌いなだけだ
なつめ: 軟弱がきらいか
アスタシア: むむー、軟弱だと嫌われるのか。まあ確かにストさんは軟弱者は嫌いそうですよね
なつめ: いいじゃない、人それぞれでさ
ゼロ: 軟弱……こっこれでも強くなったぞ〜。最初のころに比べると
ストライク: せめて人前で涙を見せるな……
ゼロ: うっ、わっ、わかったよ
なつめ: つんつん、そんな時はこう言ってやれよ。涙は心の汗だって
ゼロ: ぷぷぷ、あはは。TVの見すぎだよ〜
なつめ: そうかなあ?
アスタシア: へー、なんかクサい台詞ね
ゼロ: 涙は心の汗〜
なつめ: まぁ、言い訳の一つなんだけどね
ストライクは目を閉じて考え事をしていた。
ゼロ: 今度使ってみよう
なつめ: まぁ、立ち話はこれっくらいにしてさ、今はいちごを見つけることが先決だよ
アスタシア: ええ、いちご狩りに行きましょう
一行はまた前へと向かった。