地下水の在処
到着した先は地下水の流れる美しい場所だった.
アスタシア: ふう. 到着
冴: おっ, 涼しいねぇ
アスタシア: ほら, 水がたくさんありますよ. この水じゃだめなんですか?
冴: ここでもパイオニア2のよりはるかにおいしいけどね. 噂だと虹の見える所にあるそうだよ
アスタシア: わかりました. 行きましょう
冴: お〜〜
一行は元気よくまた出発した.
ストライク: 虹か……
一行が入った部屋にはいつものシャークと, 変わった巨大花があった. 花の花粉を吸うとしびれて動けなくなってしまう. ゼロがその餌食になった. ゼロはその場で倒れた. 幸い生命に別状はなかった.
冴: 大丈夫?
ゼロ: 大丈夫じゃないかも
冴: どらどら?
冴はゼロの全身をなで回しはじめた. その間に毒気は抜けたようだ. ゼロは跳び上がった.
ゼロ: わわ
冴: どこも異常はなさそうね
ゼロ: だっだいじょうぶ. もう治りました〜〜〜
その間, ストライクは休憩していた. ミニボトルを出して一口飲んだ.
冴: あれ? 何飲んでんの?
ストライク: 水だ……
冴: どこの水?
ゼロ: もしかして, 天然水とかぁ?
ストライク: パイオニア2だ……
しかし, その瓶にはウイスキーのラベルが貼ってあった.
ゼロ: あれ, でも, ラベルお酒ですよ〜 ストさんお酒飲んでる〜〜 水ってうそでしょう
アスタシア: お酒飲みながらやってたの?
冴: まぁ, 今はすまんけど控えてね. つまり, 今までの行動は酔っぱらいの行動ってわけか
アスタシア: そうじゃないと思うけどなぁ……いつもあんな風だし.
ゼロ: 確かに, いつもと一緒だ
冴: そうそう, ストライクさん, 話変わるんだけどさぁ
冴は休憩ついでに前からの疑問を投げかけてみた.
冴: なつめから聞いたんだけど, 大怪我をしても数日で完治したってホント?
ストライク: ……ああ
アスタシア: なつめちゃんて, そんな事まで話してるの?
冴: 奴は口が軽いから. あちきと同様に
アスタシア: あらー, だとするといろんな話が筒抜けなのかも
そして, アスタシアも思い出したように聞いた.
アスタシア: あ, そうだそうだ. 怪我大丈夫だったの?
ストライク: まあ, な
ゼロ: すごい生命力
冴: なるほど. 愛の力で治ったわけか
冴はにやにや笑いを浮かべて言った.
冴: なつめが言ってたよ. なつめの友人のひかりちゃんが, ストライクさん来れなくて寂しがってたよ
ストライク: 妹が行ったろう……
ゼロ: うん. ジーニかわいかったね
冴: あちきの方がかわいいわいっ!!
ストライク: 戻ってきたときずいぶんおびえていたが……
冴: 大人ばっかだからおびえてたんじゃないの?
アスタシア: 人見知りが激しかったもんなぁ. 別に何もなかったんですけどね
ストライクは首をひねった.
ストライク: 変だな. いつもうるさいくらいだが……まあ, 戻ったら聞いてみるか
ゼロ: そうだよねぇ. 人見知り激しかったよ〜. 特に私なんか怖がっちゃって. 何もしてないのに
冴: そうなの? こんなにひょうきんなのにさぁ
アスタシア: そう, それが不思議なのよねぇ
なつめがまた何か思い出したように言った.
冴: なつめはゼロさんの事気に入ってるのにさぁ
アスタシア: あ, そんなことなつめちゃんが言ってた?
冴: すんごくいい顔で話してるよ
アスタシア: へー
ゼロ: そうなんだ……って, 冴さんに私のこと筒抜けなじゃないですかぁぁ
冴: あちきの目は節穴じゃないからね
ストライク: アスタシアさんは責任感のある理想の上司だって言ってたよ
アスタシアは笑った.
アスタシア: こうでもないとまとまんないのよ. この店は.
冴: ストライクさんは笑顔が見たいっていつも言ってるよ
ストライク: 笑い方は忘れた……
ストライクは小声で言った.
冴: 忘れた!? まあ, 作り笑いは良くないからねぇ
ストライク: ともかく, 先へ進むぞ
冴: さびしい人生なんてつらいよ, ストライクさん
4人は歩き出した. ゼロは背中を向けているストライクに行った.
ゼロ: あと, ジーニちゃんによろしく言っといてよ〜〜, ストさん
ストライク: 却下だ……
ゼロ: ええ〜〜いいじゃないですか
アスタシア: うわぁ. 水がいっぱい. きれいな水ねぇ
4人はとうとう水辺にやってきた. 冴は水を一口飲んでみた.
冴: 確かにおいしいけど……でも虹が見えな〜い!!
アスタシア: 別に虹を飲むんじゃないんだし, いいんじゃありません?
ゼロ: そうだよ〜
ゼロも同調したが, 冴はきっぱりと居った.
冴: いやだっ!!妥協の文字なんてあちきの辞書にはないんだっ!!
アスタシア: はい. ではお供しますよ. でも, きっともうすぐだと思うなぁ
冴: ごめんねぇ, こんなわがままな客で.
アスタシア: いえいえ, これがわたしたちの仕事ですから
ゼロ: なんてったってサービス業だからね
4人はさらに奥へと進んでいった.
冴: あ〜〜〜〜〜!!!
洞窟の敵と戦っている最中, 冴が大声を上げた.
冴: やっぱりストライクさんだった〜〜!! あちきこの目で見たよ
アスタシア: またなんかメギドがちらっと見えたような. ストライクさんなの?
冴: うんうん, こんな風に……
と冴が格好を真似すると, 手からぼわっと紫色のものが飛んでいった.
冴: ってあちきも出せるのか.
アスタシア: すごいすごい. さすがですね
冴: まあ, 今のは見なかったことに
ゼロ: いいなぁ. 私テクニック苦手であまり使えないんですよねぇ
アスタシア: ゼロさんフォースのくせに何言ってんのよ
冴: ギフォイエ使ってるじゃん
ゼロ: たまたま出てるだけですよ〜. それも10回に1回. ……違う場面でも出そうとしてたんですからぁぁ
ゼロはまた目がうるんだ.
冴: 100回に1回よりはマシだよ. プラス指向でいかなくちゃ
ゼロ: そっか. 10回に1回出るんだから, いいよね
冴: そう!!
二人で妙に納得している所へ, アスタシアが横槍を入れた.
アスタシア: でも, いざという時に出ないと困るわよ. レスタなんかは特にね
ゼロ: レスタ……う, 失敗しちゃった. もういちど……
しかし, レスタは発動しなかった.
ゼロ: わーん, 出ないよ〜〜
アスタシア: あらあら, そんなんじゃ安心して回復をまかせられないわね
冴: 大丈夫. 力を抜いて. そうすれば出るかもしんないから
ゼロ: うん, わかった.
ゼロは深呼吸をしてもう一度挑戦した. 今度はちゃんと発動した.
冴: 出た出たぁ!!
ゼロ: あっ, でたあぁ. やったぁぁ
アスタシア: よかったわー
ゼロ: わーい, ありがと〜〜 冴さんのおかげ〜〜
ゼロは冴に抱きついた.
冴: うわっ!!
その様子を見ながらアスタシアはぼそっと言った.
アスタシア: 愛の力, かも……
冴: なぬっ!? 今聞き捨てならないことを聞いたぞ
アスタシア: あーいえ, なんでもありません.
ゼロ: 何か言ったの?
ゼロは不思議そうに尋ねた.
冴: 何でもないか. まあいいや. 虹のある所までゴー!!
ゼロ: おお〜〜!!