何でも屋12: 幻の天然水

冴さんの依頼で,洞窟に幻の天然水を取りに行きました.報酬の他に,何かをご馳走してくれるというのですが,何でしょうかね?

依頼人の本性

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洞窟につきものの暗い部屋.
冴: うわっ!! 暗いっ!! いでぇ!! 何しやがる!!
ゼロ: わわ, くらいよ〜〜
ゼロは近くにある物にしがみついた. と, その時, アスタシアが照明のスイッチを押した.
ゼロ: って, あれあれ?
アスタシア: ゼロさん, もう大丈夫よ. そういえばゼロさん暗いのがまだ苦手なの?
ゼロ: わわわ, だっ大丈夫だよ〜 ぜんぜんこわくないもん
冴はうんうんうなずきながらしみじみと言った.
冴: やっぱなつめの言うことは本当だなぁ
アスタシア: あら? なつめさんのお知り合いですか?
冴: 実は友人なのよ
アスタシア: そうだったんですか
冴: だからあえて身分隠して依頼したわけなのよ. あいつバカだから気づかないでやんの!!
アスタシア: まあ, わたしも人のことは言えませんけどね
アスタシアは昔の事を思い出しながらしみじみと言った.

冴: そうそう, なつめから聞いたんだけどねぇ, ストライクさんとアスタシアさんってデキてるってほんと?
ゼロは昔の事を思い出してにやにやしていた.
アスタシア: え?え? そんなこと依頼とは関係ない事でございましょう?
ゼロ: 気になるよねぇ
冴: ごめーん. 非常に気になったので. あちき, ゴシップ話に弱いんだよねぇ
アスタシア: まずい, こういう人に知られるといっぺんに……
その時, 冴とゼロの足元にナイフが刺さった. ナイフの主はストライクだった.
冴: 客に向かって何をするっ!! アスタシアさん, 依頼はなかったことに……
冴はきっとにらんで皆に背を向け歩き始めた.
アスタシア: あ, あ, ちょっと待ってください.
そして, ストライクに向かって言った.
アスタシア: こら! ストライク! なんてことするの!
ストライク: ……悪かった
アスタシア: ゼロさんにはいくらやってもいいけど, お客様にやるのは黙っちゃいませんよ
ゼロはそりゃないよと言いたげに涙目でアスタシアを見つめた.
ストライク: わかった……
アスタシア: よろしい
ゼロ: わわ, わからないでくださいよ〜
ストライク: 後でなつめもシメるか……
ゼロはただおろおろするばかりだった. それを見て冴はつかつかとゼロの前に立った.
冴: これならゼロさんに向かってナイフ投げられないでしょ
ゼロ: 冴ちゃんはいい子だ〜
ストライク: 安心しろ. 帰ったら存分にシメる
アスタシアは冴に向かって言った.
アスタシア: 本人もあやまっておりますので, ここの所はどうか勘弁願います
冴: りょ〜かい. なつめに対してならかまわないよ. あちきが許す. 責任はとらん
ゼロ: って, 冴さん, 友人でしょう. 止めなくていいの?
冴: あいつもすぐに死ぬようなやわな奴じゃないよ.
冴はそう言ってまた洞窟の奥へと歩き始めた.
冴: ふふ〜ん
ゼロ: 危ないよ〜, 一人で行っちゃ
冴: ごめんごめん. 護衛の邪魔になっちゃったね
ゼロ: まっかせて. 守っちゃう
冴: ありがと


アスタシア: ふう, まだかなー
冴: ごめんね, 厄介な依頼で
アスタシア: いえいえ, いいんです
洞窟の敵を苦労して倒している時にそれは起こった.
ゼロ: はっ, 何だったんだろ, 今の. 無意識のうちに何か出た.
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冴: 今のテクニックは!?
アスタシア: なになに? 何かあったの?
冴: 紫のもや〜っとしたものが飛んできたんだよ
アスタシア: うわ, メギドだわ. だれ? そんな危ないのを使うのは
冴: だれ, だれだ!?
アスタシア: あ, 冴さんだったらごめんなさいね
冴: バレたか
冴は苦笑した.
ゼロ: ええ〜〜
アスタシア: ええー!?
冴: ってうそぴょ〜ん!!
アスタシア: なんだ, 嘘ですか
冴: ごめ〜ん, 偽証罪で捕まるね
アスタシア: とすると, わたしでもないし, ゼロさんのわけないし……
ゼロはうんうんとうなずいていた.
冴: 超人的体力のあるストライクさん?
ゼロ: ストさんだね
冴: すご〜〜い!!
ストライク: 使った覚えはないが……使おうと思えば使えるんだがな……
冴: じゃ, だれだろ? アスタシアさん?
アスタシア: わたしじゃありません
冴: ゼロさん?
ゼロは答える代わりに首をぶんぶん振った
アスタシア: じゃぁ……シャークのしわざ?
ゼロ: 敵さんですよきっと
アスタシア: それとも, 幽霊……?

しばし沈黙の時が流れた. それは冴の悲鳴で終わった.
冴: ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!! オバケだぁ〜〜〜〜
ゼロ: っわわわ
ゼロはお化けより冴の悲鳴の大きさにあわてた.
アスタシア: 自分で言ってて気味が悪くなってきた
ストライク: 身に覚えがありすぎるな……
冴: あはは. なぁんだ. ストライクさんだったのか
ゼロ: な〜んだで済むことですかぁぁ
冴: あれ? 安心できないの?
ストライク: 憑いてるとしたら俺だな……
ストライクは真面目に言った.
ゼロ: わわわあ, こわいこと言わないでよ〜〜, ストライクさ〜ん
冴: まあ, 背後霊がいるってことにしましょう
ゼロ: 冴さんは恐くないの?
冴: 怖いよぉ〜. ソチラクイさんにお化けがついているということがこわいの
冴は身体がぶるぶる震えていた.
ゼロ: お化けですよお化け. 倒せないんですよ〜
冴: こわがってもしょーがない. 先進もうよ
アスタシア: は, はい
冴: お化けもとりつくとはストライクさんは不思議だなぁ


一行は扉の前で思案にくれていた. 扉は誤作動防止のスイッチがついているタイプのものだった. 4人が同時に押さないと開かないようになっている. スイッチは部屋の四隅に設置されていた. 一つ決定的に困ったことは, 部屋の中央に溶岩が流れ込んでしまっていることだ.
アスタシア: 行けませんね
ゼロ: 向こうのスイッチ……
冴は持っていた鎌を溶岩の川へ思い切り伸ばしてみた.
冴: 届かな〜い!! あきらめよっか?
アスタシア: 今日はなぜか道がややこしいわ. それとも案内のせいか……
ゼロ: ええ〜, 僕のせい??
ゼロは皆の顔をきょろきょろと見た.
冴: 冗談だよ. だれも本気にはしないって!!
アスタシア: そそ, 冗談ですよ
ゼロ: うそだぁぁ, 本気だった〜〜, さっきの
アスタシア: いやぁねぇ. 冗談だって
アスタシアはそう言って笑った.
冴: アスタシアさん, どうする?
ストライク: ここは諦めて, 別の道を探すぞ……
冴: は〜い


別の道を行くと, 転送機はすぐそこだった.
アスタシア: あったあった
ゼロ: やったね
冴: なあに? これは
アスタシア: これで洞窟の奥へ行くことができます. だよね?
アスタシアは転送機の調整をしているストライクに念のため聞いた.
ストライク: ああ……終わったぞ
ストライクは立ち上がった.
冴: じゃ, さっそく……
ゼロ: いく〜〜