何でも屋1: 機械の修理

アスタシアが始めた「何でも屋」さんに初めての依頼が舞い込みました。とんでもない依頼でないといいのですが……

複雑な機械

動物よけの柵を乗り越えると、さっそく猛獣が現れた。ラッピーだ。
ひかり: あー、ラッピーだあ
ひかりは長い槍を構えてさっそうと向かっていった。しかし、さっそく固いくちばしでつつかれた。
ひかり: いたいよお
ゼロ: 大丈夫?
ひかり: ラッピーきらーい
そして、その後からブーマもやってきた。
ひかり: あー、こわいくまさん
アスタシア: ほらほら、がんばって!
アスタシアは後方でシフタとデバンドをかけた。

前衛のストライクとひかり、そしてゼロの稲妻のおかげで無事ラッピーやブーマを撃退することができた。
ひかり: ゼロさん、助かったよ
ゼロ: ふふ〜ん
ひかり: ラッピーのばかあ! たんこぶできたあ
ゼロ: あはは。たんこぶ……痛そ〜
アスタシア: この分だと大丈夫そうね
ひかりは頭をさすっていた。アスタシアは満足そうにうなずいた。

ストライク: こっちのゲートは異常はないな……
ストライクは一人、黙々と機械の点検をこなしていた。

一行は森を見回しながらゆっくり歩いていた。
ストライク: ライト、異常なし……
アスタシア: 昼間なのにつけっぱなしで……
ひかり: ここのゲートはOKかな?
ゼロは手にした紙に稼働状況をメモしていた。
ゼロ: ここに扉っと
アスタシアはゼロのメモをちらっとのぞき込んだ。
アスタシア: うんうん、そんな感じでね

と、先頭を歩いていたひかりが大きな声を上げた。
ひかり: また出たよお
出現したのはブーマだった。一行にとってはもはや問題ではない。しかし、その先にあるものが問題だった。


ブーマを退治した一行は、その先に設置されている制御装置の前に集まった。ひかりがその前に立って見ている。
アスタシア: どうしたの?
ひかり: うーん、だめだあ! 難しすぎてわけわかんない
ストライク: レーザーフェンスか……
ひかり: ストさん、頼んだよ
アスタシア: ストライクさんにまかせたわ
ストライクは機械のコンソールを一瞥すると、さっそく作業にとりかかった。
ひかり: うわあ、すごい速さで作業してる〜
アスタシア: どう?
ストライク: 特に異常はない……
ストライクはそう言うと、脇に置いた剣を拾ってその場を離れた。
アスタシア: これって、このままでいいものなの?
ストライク: このままだと、どこかにあるフェンスが作動したままだ
アスタシア: あ、そうなの
ゼロ: 動かしてみたら?
ストライクは少しうなずくと、コンソールのボタンをいくつか押した。すると、音がして目の前の機械が動いた。
アスタシア: あ、動いた。なんか一瞬だったわね。
ひかり: ひかりは全然わかんなかったのに
アスタシア: 助かるわ
ひかり: ストさん、なんでもできるんだねえ
アスタシア: ねえ、正式にうちにこない?
ストライク: いや、それは遠慮しよう……
アスタシア: あ、そうなの……残念だわ
ストライク: すまんな
その後で、ゼロはまだ機械を眺めていた。
ゼロ: 僕だってたよりになるところ見せなくっちゃ
ひかり: がんばれー


少し進むと、また同じ型のレーザーフェンス制御装置があった。
ひかり: あー、まただあ。ストさん、よろしく〜
ストライクが前に進みかけると、勢いよくゼロが飛び出してきた。
ゼロ: 今度は僕がやる〜〜
ストライク: 譲ろう
ひかり: がんばれ〜
全員が見守る中、ゼロが装置の正面に立った。
ゼロ: えっと、ここがこうなって、これがこうだから……
ゼロは装置をじっくり見回してから、おもむろに手をコンソールに置いた。
ゼロ: えい
ゼロはボタンを押した。そして、そのまま20秒が過ぎた。
ゼロ: うっ
ひかり: あれれ〜?
アスタシア: だめじゃん
ゼロ: えへへ、失敗しちゃった
ストライクはいつのまにかゼロの横に立っていた。
ストライク: ここが逆だ……
ストライクが2,3キーを叩いてボタンを押すと、機械はさっきと同じように音を立てて動いた。
ゼロ: えとえとえと……あわわ
ひかり: すご〜い
アスタシア: ほら、こんなに簡単に動くのに……
ひかり: ゼロさん、修行しないと
ゼロは肩を落として機械の前を離れた。ひかりはそんなゼロに近寄った。
ゼロ: がっくし
ひかり: がんばってね
ゼロ: いいんだぁ、いいんだぁ
ひかり: まあまあ
ひかりはゼロの肩をなでた。ゼロは顔を上げた。ゼロとひかりの視線があった。
ひかり: えへへ
ゼロ: えへへ
アスタシア: そのうちできるようになるわよ
ゼロ: ですよね
ひかり: がんばってね
ゼロはうなずいた。