ガイドブックで大儲け

ラグオルっていいところだよ!さあ、森にでかけよう!そんな観光ガイドブックを今のうちに作っちゃおうという、なんとも気の早いガート君。さあ、依頼の方はどうなるでしょうか?

森はいいところ

ザック: ここが森の入口だよ
ガート: うわぁ、天気もいい
ガート君は両手をいっぱいに広げて深呼吸しました。雲一つない快晴。太陽はまぶしく、それでも暑いというほどではありません。空は澄んだ青。まるで誰かが空一面に掃除器をかけたかのように、チリ一つありません。

ミウ: 撮影には絶好かな?
ザック: そうだねん
ガート: ま、入口だし、ちょっと撮っておくかな
ガート君がカメラを構えると、アイラさんが急にそわそわし始めました。カメラの方向をちらちら見ては、自分の立ち位置を変えています。ミウちゃんもカメラの方を見てポーズをとってます。
ガート: もううろうろしても遅いよー
アイラ: んもう、この美女を撮らないなんてどういうつもりかしら、ぷんぷん
ミウ: 美女二人もいるのにねー
アイラ: そうよねー
ザック: 美女?
ザック君、こんな二人に何か言いたげです。
ザック: はー、どうせならモデルでも連れてきてくれれば
ガート: そんな予算ないって
ミウ: こんな美女がいて他は必要ないでしょー
肩を落とすザック君。まあまあ、この二人なら標準以上だと思いますけどね。

一行の目の前に現れたのは、ハンターズの間でもファンの多いラッピーです。凶暴なんですが、なぜか憎めないあの格好。ガート君は戦闘そっちのけでカメラを握っていますが、他の3人はラッピーに突っつかれて苦戦してます。
アイラ: 被写体がいるわよ
ガート: ラッピー!!
ザック: ぐお
アイラ: もう、いったいわねぇー
4人は、襲ってくるラッピーをなんとか追い払いました。
アイラ: ふぅ、玉のお肌が荒れちゃうわぁ……。今のは写真撮ってないでしょうね?
ガート: 今の?さあね。いつ写真撮ってるかわかんないよー
ザック: 撮られて困るのかい?
アイラ: あら、優雅な戦闘ぶりを撮られるのは困らないけどぉ……。観光に戦闘シーンはまずいわよね?
ガート: いやいや、面白ければ何でもアリだよ
ミウ: 面白いってなんか違うよーな
ザック: アトラクションじゃないんだから
ガート: 難しく考えなくても、売れればいいんだよ
ザック: なんちゅー会社じゃ
ミウ: なんか、利益重視だなあ。いい加減っぽい。
ガート: もちろん! 利益重視さ
アイラ: 資本主義ってそういうものよ
ミウ: そりゃそうだけど、ポリシーがなー、感じられないよ
ガート: 僕んとこは堅苦しいのは大嫌いだからね
そうそう、ガート君のとこはそんな感じのとこなんです。二流……いやいや、大衆向けの本を多く出しているところです。
アイラ: ポリシーは、お堅い出版社に任せてるのね
ガート: そうそう、そういうのは儲からないんだよ
ミウ: はっきり言うなー
アイラ: だ、そうよ。割り切って行きましょ
ザック: ま仕事だしいいか
ミウ: こちらも割り切ろっと
アイラ: これもお金のため!
ガート君のいい加減さを非難する女性二人を、ザック君は冷やかに見ています。
ザック: 君らも一緒やん

アイラ: ねえ、ここの眺めはどうかしら?
とアイラさんが立ったのは崖の上。高台になっていて、向こうが見通せます。
ガート: ん?なかなかいいねえ。ちょっとアイラさん、そこに立ってて
アイラ: あら、あたし?ここでいいかしら?
ガート: えーと、距離はこのくらいかなぁ。いくよー。
青い空、緑の森、そしてそこににっこり微笑むアイラさん。そんな絵が撮れました。
ミウ: いい感じ!
ガート: うんうん。ありがとう。
ザック: 営業スマイルか。おそるべし
アイラ: 営業スマイルは資本主義の基本よ?
ミウ: ボクも練習しよっと
意味もなく、誰に向かうでもなくにこっと微笑む二人。可愛いけどちょっと不気味でもあります。
ザック: 悪女系やなー、あいつ

ミウちゃんの笑顔を見てうんうんうなずいてから、アイラさんは言いました。
アイラ: ついでだから、ミウちゃんも写真撮ってもらいなさいな
ガート: ま、また別の場所でね……
ミウ: いい笑顔覚えたのになー。ま、次に期待しよ
アイラ: ザックも、どっかで写真を撮ってもらえば?戦闘中のがいいんじゃなくて?
ザック: じゃポーズとろうか?
ミウ: いい記念になるし、本で有名人になるかも
ガート: むむ、これじゃ何枚写真撮らされるか……。メモリーの容量足りるかな……
ガート君はしきりにカメラを操作していましたが、何やら決意したようです。厳しい顔をしてこう言いました。
ガート: いいかい、あくまでメインは風景なんだから……
ミウ: ま、観光用だしね
ガート: ま、もちろんそこにかわいい女の子がいればもっといいんだけどね
ザック: 女ならいいのか……2流雑誌だな、絶対……
ガート君、威厳だいなしです。
ミウ: かわいい子二人もいてラッキーだったね
アイラ: ねー
ミウ: それとも選んで依頼した?困っちゃうなぁ、可愛いすぎて
アイラ: ミウちゃん、将来は絶対アタシみたいな美人になるわよー
ミウ: うん、そうかなー。だといいな。
アイラ: 女は自信を持つことが、美しさにつながるのよ
ほらほら、もとの木阿弥ですよ。もうあきらめましょう。
ガート: いやぁ、偶然だけどこのメンバーでよかったよ。そういうことにしとこ。うん。
ザック: 気の毒かも……

ガート: さあさあ、まだほとんど仕事進んでないんだ
アイラ: 日が落ちちゃうと、写真とれないでしょうし。先へ進みましょ
ミウ: うん、先、行こー
こんなペースで、本当に大丈夫なんでしょうか?