ガイドブックで大儲け

ラグオルっていいところだよ!さあ、森にでかけよう!そんな観光ガイドブックを今のうちに作っちゃおうという、なんとも気の早いガート君。さあ、依頼の方はどうなるでしょうか?

さあ、出発だ

ガート: こんにちはー
ミウ: こんにちは
ギルドのドアを開けて、ガート君が元気に入ってきました。ひょろ長で丸眼鏡、首からカメラをさげています。そして、これまた元気よく挨拶に答えるのはミウちゃん。まわりを見渡すと、黒い衣裳でビシッときめてるアイラお姉さんと、丸い帽子がかわいいザック君もいます。今ここにいるのはこれで全部かな。(もちろん受付のお姉さんは除いてですよ)

ガート: 極秘の依頼なんだけど、だれか受けてくれる人いないかな?
ザック: おっ、秘密とな?高そう
ミウ: なにやら、儲けの匂い
「極秘」という言葉につられて、3人は目をキラキラさせながらガート君に近づいてきました。アイラさんだけはかなり冷静でしたが。
アイラ: 極秘という割には、大声で挨拶したけど…
そうです。その通りです。しょせんガート君のいう極秘なんて……

ガート: 行き先は森。極秘といってもたいしたことじゃないんだよ。ま、森一帯の調査といった所かな。これ以上は……
アイラ: 調査……ねぇ
ミウ: 支払は?
ガート: いつも通りキャッシュで5000メセタ。森にしては悪い額じゃないと思うけど?
ザック: いいよん。探しもののついでに受けましょう。
ミウ: 今月苦しいしな。受けようかな。
アイラ: 5000か……
即答のザック君に、財布を開けて中身を数えるミウちゃん。アイラさんは目を閉じて手をもぞもぞやってます。これは…そろばんをはじく仕草ですか?
アイラ: いいわよ。今暇だし。
何を懸命に計算していたのかは知りませんが、みんな答えが出たようです。

ガート: じゃ、さっそく内容についてだけど、ちょっとみんな、こっちに集まってくれないかな
アイラ: こんなところでいいかしら
頭を寄せる4人、外から見たら絶対に悪だくみの相談に見えます。
ガート: いいかい、絶対に他言無用だよ
ザック: はいはい
アイラ: 守秘義務は、ハンターズのオキテだものねぇ……
ガート: 実は……
ガート君、ここでいったん言葉を切ります。
ガート: ラグオル観光ガイドブックを作成するんだ
ザック: 観光?
ガート: ラグオルが一般解禁になったときにガイドブックが一社だけから出てたら……。な、わかるだろ?どんな風になりそうか。
アイラ: 丸儲け、ってワケね。わかったわ。
ガート: というわけで、他社には絶対にマネされたくない。極秘でってことなんだ。
ミウ: 先行投資ね
ザック: にしては安いな
なあんだ。極秘だとかなんとかいって妙にもったいぶったと思ったらこれですか。政府とか軍の関わる危ない仕事を予想してたんですが……。でも安心して見てられますね。これなら。

ガート: で、今日は、森に出て観光スポットになりそうな写真を撮りまくる。それだけの仕事さ。付き合ってくれるかい?
ミウ: ほいほい
ガート: 写真は僕が撮るよ。君達は護衛と、そして……
ガート君はまた言葉を切ります。ホント、もったいぶるのが好きなようで。
ミウ: そして?
ガート: ちょっとは被写体にもなってもらおうかな
ミウ: へ?
予想外の言葉に、ミウちゃんはついていけなかったようで、口をポカンと開けています。それに対して、急に後を向いてハンドバックからコンパクトを取り出したのがアイラさん。さすがです。
アイラ: あら、化粧崩れしてないかしら……よし、ばっちりね
ザック: 気にするか……

ミウちゃん、やっと開いた口がふさがりました。
ミウ: ボクたちを撮っても、観光に関係ないんじゃ……
ガート: いや、風景だけって写真もさみしいからね
アイラ: あら、観光には関係なくってもぉ、ガイドブックの売上げに貢献するかもよ?
ミウ: うん……
アイラ: その時は、別料金は頂けるのかしら?
ガート: 別料金!?
今度は開いた口がふさがらないのはガート君の方です。
ガート: まったく、自分を何様だと思ってるんだ
ミウ: 今、なんか言った?
ガート: あー、いやいや。ま、特別な事情がなんかできたらね。例えばミウさんが本当にモデルデビューしたとか、そんな時には。
ミウ: それは将来そうなる可能性は高いけど……
ミウちゃんは腕を組んでガート君を見上げています。ガート君は思わずふきだすのを手で押えると、目をそらしました。
ミウ: むう
ガート: とりあえず今約束できるのは5000メセタだ。いいかい?それで?
ザック: ああいいよ
アイラ: ちょうど退屈してたし、いいわよ
ミウ: はーい
ガート: よかった。じゃ、さっそく行こうよ。
全員の合意が取れたところで、ガート君は背中に差した杖を取り出すと、出口に向かって歩き始めました。

ミウ: 家賃の期限も近いしなー。仕方ない。
ミウちゃんは後を向いて指折り何かを数えてます。早くしないと置いていかれますよ?