未来予想図

い。(なんかこんなのばっかり。普段って何だ?)

対立

ラグオルの地表はいつも通りの光景だった。まあ、とはいっても今日で二度目なんだが。
シーナ: あ、先に言っとくで。あんまりはしゃぎすぎんようにな。また、単独行動は慎むこと。ええな?
ガート: 当然だ。
シーナは小学校の遠足の引率だとでも思っているのだろうか。もっとも、養成学校ではその程度なのかもしれない。

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そして、僕達は、めいめい武器を準備した。杖、長槍、マシンガン、そして、ファーンは...
ファーン: ほら ほら 先輩、熊手ですよ
ミウ: ち、ちがうでしょ、それは
見ると、ファーンはクローを手にしていた。
シーナ: それ熊手ちゃうやん
ファーン: 友達にもらったんです。熊手ですよ
ミウ: 掃除用具じゃないってば
ファーン: え 違うんですか?これでいつもチリを集めてましたけど
ミウ: あう、もったいない…
シーナ: ソレに慣れとるんやな?もしかしたらファーンが一番強いのか?
シーナの最後の言葉は単なるつぶやきだった。でも、そうかもしれない。
シーナ: まぁええわ。とりあえずこの先に扉があるから、そこまでいきや…
ミウ: しっかし、素行不良で呼び出し常習犯のボクがなんでまた…
ファーン: 先輩、がんばりましょう
ミウ: うん?あ、はいはい
シーナ: ま、点数稼ぎと思って頑張りやー
シーナを先頭に、やる気のないミウを後ろにして隊列は進んでいく。やがて、猛獣よけのフェンスにさしかかった。フェンスの向こうに、バンザイをしているやる気まんまんのブーマが見える。
シーナ: お客さんやな。ほな、アイツら掃除するでー。準備ええな?
ミウ: 仕方ない、か……
ガート: 邪魔物は駆除!
ファーン: はい、残骸はまかせてください
シーナ: じゃ、各自散開!
シーナのかけ声に合わせて、4人は野獣が濶歩する空き地に駆け込んだ。


シーナ: ま、それなりにやるようやな
フォースが3人だから、あたりにテクニックが炸裂する。ブーマは炎で焼き尽され、黒焦げになってしまった。シーナはファーンに駆け寄った。
シーナ: 大丈夫?
僕も負けずに駆け寄る。
ガート: 大丈夫か?

ファーン: 終わったんですか?
シーナ: ま、な。ここは一応終わりや
ミウ: まあまあ、かな
シーナ: それなりにやるみたいやな、二人とも
ファーン: 皆さん、すごいですね
「それなりに」という所がカチンと来た。養成学校の連中に言われるとはね。
ガート: だから、バカにするなって。君達とは人間の出来が違うのだよ。
シーナ: ま、まだ防御が甘いみたいやけどな
ファーン: あんな 広範囲のテクニックはわたしには使えません
うんうん、わかってるのはファーンだけだ。

ミウ: 熊手の使い方も、さすがにうまいね。
ミウも、あれは熊手だということにしてしまったらしい。
ファーン: 熊手に関しては わたしの方が 先輩でしょ
ミウ: そうだね
シーナ: ま、ちっとは使い慣れてるからやな。この調子できばりや
ファーン: はやく テクニックを覚えないと……
フォースはテクニックが命だからね。がんばって覚えないとね。

シーナ: ここはこれぐらいやな。ほな、次いくでー
ファーン: はい
ガート: さあ、ラグオルをきれいにしよう!
シーナ: ま、今回は二人にがんばってもらおか
当然、僕はがんばるさ。ラグオルのためだから。


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扉を開けると、そこではまた当然のようにブーマがバンザイしていた。ブーマが喜んでいる間に殴りかかる。これもラグオルの平和のためだ。ブーマが倒れてぐったりした所で、僕は周辺を見渡した。あちこちに壊れた武器や防具が散乱している。こんな所に装備品を捨てていくとは、なんたるマナーの悪さだ。ハンターズも困ったもんだ。

僕が落ちている装備品を掃除していると、遠くの方で吠え声がした。見ると、ブーマがのこのこと近づいてきている。
ミウ: まだいるよ
シーナ: あれやな
ファーン: がんばってください。応援します
シーナ: ……えーんかそれで……
ミウ: さぼるな、こら
ファーン: だって……
言っているそばからブーマが襲いかかってきた。前だけでなく、後からも。もう逃げ場所はない。僕達は戦わざるを得ない状況に追いこまれた。背水の陣、ってやつだ。

ファーンのクロー(熊手ね、はいはい)がブーマの腹に突きささり、ブーマは倒れた。僕はあたりを見回した。もう立っているブーマはいない。
ファーン: やった。倒せた。先輩 見ましたか?
ミウ: はいはい、やれば出来るんだから
ファーン: わたし一人でできたんですよ
ミウ: うん、見てたよ
シーナ: 上出来や、ファーン。
ファーン: えへへへ
シーナ: で、大丈夫やったか?さっき派手な一撃もらっとったみたいやけど
ファーン: 回復はうまいんです。わたしが使える唯一の広範囲テクです
お掃除好きだし、回復はうまいし、ファーンって……
ガート: うんうん、女の子はそうでなくっちゃな
シーナがクスッと笑ったような気がしたが、気にしないことにした。
ミウ: ガー君もテクニックはすごいね
ガート: わかったろう?僕の偉大さが
ミウ: 防御がちょっと……ま、いっか
本当はフォースは前衛に回ることはないのだから、防御なんてどうでもいいのだ。役割分担ということが彼女らにはわかっていない。
ファーン: 本当にすごいです。わたしもあんな派手なのを使ってみたいです
シーナ: 派手だからええちゅーもんでもないんやけどな
ガート: ちゃんと勉強すればできるようになるよ。でも養成学校じゃあなあ……
シーナ: そう思うんやったらさっさと試験受ければええねん
ミウ: こらこら、馬鹿にすんなよ、養成学校を
シーナとミウが険悪な目つきでこちらをにらむ。まあまあ。僕も本人達の前で言いすぎたかもしれないけど、これも事実だからなあ。
ファーン: 勉強ですか。先輩に教えてもらいます。
ガート: 系統だって基礎や理論から学ぶのが、テクニックをマスターする近道だよ
ファーン: そうなんですか?
シーナ: 実戦で学んだ方が何倍もええんやけどな
ミウ: こっちは実地が多いから、それでいいんだよ
ファーン: なんか適当にやってたら できたんですけど……今まで。あれって、勉強するものだったんですね
ミウ: 才能あるみたいだね。
シーナ: こういうのが一番成長するんや
はぁ。もしかして、養成学校の先生は何も教えていないのか?そりゃファーンがかわいそうだ。
ガート: だめだめ、自己流じゃ一流にはなれないよ。ちゃんとフォトンの3属性から……
ミウ: 頭でっかちは駄目だよ
ミウ、君はフォースだろうに。長いものを振り回して喜んでるハンターじゃないんだからさあ……。養成学校にいると、頭が資本のフォースでもこうなってしまうのか……。

シーナは僕の言った事を聞いてふふんと鼻で笑うと、にやにやして言った。
シーナ: 理論だけでいけるんやったら、軍は負け知らずやしな
ガート: ああ、負け知らずだとも! 我がラグオル軍に負けなし!
シーナ: せやけど実際はなぁ……なーんもでけへん。軍はいっつも口だけや
ミウ: うーん
なにをっ! 軍のすごさを知らないくせに。僕の尊敬するN先生もJ先生も、本当にすごいんだぞ! それに、軍が負けたなんて話は一つも聞いてないぞ。デマばかり信じる野蛮人め!
ファーン: なんの話ですか?喧嘩しちゃだめですよ
ミウ: あ、そうだね。別に喧嘩じゃないよ
ファーン: あ、そうなんですか?
ミウ: うん
ガート: 論争っていうのは喧嘩じゃないよ。
ミウ: 交流を深めてるんだよ
ファーン: よく ずれてるっていわれるんです。わたし いつも トンチンカンで
ファーンが間に入って、喧嘩、じゃなくて論争は終わりになった。
シーナ: まぁええわ。この話はこれで終わりや。ほな残りの掃除やって次にいくで
でも、シーナとミウはまだまだ言い足りなかった様子だ。
シーナ: やれやれ……あんなのが幹部になったらラグオルも終わりやな……
シーナ: 今回ので考え変えてくれたらええんやけど……
ミウ: 軍は既に終わっている!
シーナ: それは言わないお約束や