Phantasy Star Onlineでロールプレイをしよう(上級編)

一通りロールプレイができるようになったあなた、さらに上を目指すことを一緒に考えてみましょう。

キャラを設定しよう

PSOをプレイする前にまずキャラクターを作ったはずだ。あなたはそれにどのく らいの時間をさいただろうか? キャラメイク画面で聞かれるままに入力しただけ というあなたは、まだ詳細設定ができていないに違いない。今でも遅くない から、詳細設定をしよう。

なにを設定すればよいか

まずキャラクターのイメージを作るというのは「初級編」で言ったとおりだ。そ れはできていると仮定する。

あなたがすべきなのは、そのキャラの「詳細な特徴を決定する」ことだ。 例えば、次のようなことだ。

肉体的特徴
背や体格、肌の色などは既に出来ているからいいとして、体力があるかない か? 病気がちかどうか? スポーツは出来るほうか? 年齢は?
話し方
声の質(「声優の○○さんのイメージ」も可)、多弁か寡黙か? 話のクセなど
子供のころの生活
両親は健在か? 経済状態は? 大きな病気、怪我をしたか? どんな友達と遊ん だか? 尊敬していた人は? 学校の成績は? イジメは受けたか?
人生観
宗教は? 座右の銘は? 愛読書は? 好きな作家は? それとも本など全然読まな いか? 現在尊敬する人物は?
好きなこと
趣味は? 特技は? 好きな音楽のジャンルは? 犬と猫のどちらが好き? 好きな 食べ物は? 好きなスポーツは? 将来の夢は?
過去の経験
ハンターズになる前の職業は? どこに勤めていた? その時の周りの評価は ? なぜハンターズになった?

これらの項目は、現代人のだれにでもあてはまる一般的な質問であることに気が ついただろうか。PSOのキャラといっても、芯のところは現代の一般人と同じ なのである。

上の項目は思いつくままに挙げてみたが、他にもいくつもあるだろう。こうした 特徴を記述することで、あなたのキャラが確かになってくるのである。ちなみに、 キャラ設定書は別にきちんとした文書である必要はまったくない。ノートのメモ 書きでもかまわないし、記憶力がよければ自分の頭の中でもかまわない。それか ら、最初からすべての問いに答える必要もない(それは不可能だ)。ある程度設定 が固まったと思ったら、あとはプレイしながら徐々に詳細まで詰めていけばいい。

もちろん、PSOのキャラは人間だけではなく、現代人の延長線上ではとらえ られないキャラ(例えばアンドロイド)を作ることもできる。それは非常に刺激的 で素晴らしいアイデア である。しかし、私はあまりお勧めしない。それは非常に難しいからだ。現在の 人間と同様の感覚のキャラを作ることですら、やってみると難しいことが分かる だろう。それなのに、まったく違うキャラを作って、厚みのあるキャラを作るこ とができるだろうか? 目新しいが外面だけの薄っぺらなキャラを作るくらいなら、 既にある「人間」という既成概念を利用してオーソドックスかつ魅力的なキャラ を作る方がよい。腕に自信のあるプレイヤーだけがトライしてほしい。

何のために設定するか

説明が前後するが、なぜこうして設定を作るかわかるだろうか? (本当はそれが 分かっていないと設定ができないので、最初に説明すべきなのだが)

それは、「どんなときにも即座に首尾一貫して振舞うことができるようにするた め」である。「どんなときも」という困難な要求に答えるため詳細に渡って設 定をし、また、「首尾一貫して」という要求に答えるために、即興でなくちゃ んと事前に決めておくのである。

例えば、こんな例を考えてみよう。

Jack: 「ああ、のどかな風景だなぁ。ベートーベンの田園が聞こえてくるようだ」

これに答えるには、そう、「キャラの好きな音楽のジャンル」という設定が必要 である。「なにそれ、私知らないわ。クラシックなんて古くさい音楽聞かないも の」と答えるか「そうよね、特に第二楽章の雰囲気よね」と答えるか、それをあ なたは即座に決めなくてはならないのだ。

「そんなこと事前に決めなくてもすぐ答えられる」というあなた、「キャラの好 きな音楽のジャンル」ではなく「プレイヤーの好きな音楽のジャンル」になって はいないか? 何度も言っていることだが、キャラとプレイヤーは別者だ。準備も なくとっさにとなると、どうしてもプレイヤーの観点で受け答えしてしまう。そ れは避けなければならない。

よいプレイヤーとプレイするほど、話題の幅は広がっていく。だから、設定 は「薄く広く」「日常に根差して」が重要である。深い設定が必要になったとき は、その場で即興で作ればよい。そんなに深い設定は二度と使うことはないだろ う。また、妙な設定をいろいろ作っても、実際のプレイで出てこなくては意味が ない。設定はあくまで「対応を決めるための道具」であることを忘れないでほし い。

余談となるが、例えば「クラシックファンのお嬢様」キャラを作った場合、あな た自身もある程度クラシックの知識がないと受け答えできないことになる。 色々なキャラをやろうと思ったら、あらゆる分野に興味を持ち、あらゆる分野の 知識を貪欲に吸収する普段の姿勢も大切である。

設定に溺れるな

「設定を作れ」といったときに、陥りがちなワナがある。それは「妙な設定に凝 る」ということである。例えば次のようなものである。身に覚えはないだろうか ?

私の名前はサキ。3歳のときに両親を謎の秘密結社「黒蠍団」に殺され、10歳の 時から復讐のために「試練の森」で7年間、つらい修行に耐えてきた。そこで 師ジルバから出生の秘密を知らされた。私は両親が信仰していた善の戦闘神「ポ ラリス」の加護を受けて生まれた、「神の使徒」だったのだ。神の加 護により、数々の試練を通じて魔法を修得することができた。そして、最後の試 練を終えたとき、額には神の加護を示す「牡牛」のシンボルが。そして、神の誓 いによって、退却は許されず、常に前線で戦うことを強いられる。そう、私は戦 うために生まれてきたのだ。

比較対象として、もう一つ例を見てみよう。

私はサラ=ジャクリーヌ。6人兄弟の長女。家は貧乏だったけど(6人を食べ させていくのは大変だったと思うわ)いつも笑いの絶えない家庭だった。3年前か らとある病院の経理事務をしてたけれど、ハンターズ募集をみて真っ先に応募し たわ。新しいことに常に挑戦していきたかったから。趣味は編物と水彩画、そし てピアノ(まだ下手だけどね)。

さて、プレイにあたって必要な情報が多く含まれているのはどちらの設定だろう か。次のそれぞれの発言に対するリアクションを考えてみよう。

  • 「綺麗な虹だ。壮観だなぁ」

  • 「えーっ、坑道へ行くの? 私ちょっと自信ないなぁ」

  • 「俺はアイテムいらないから落ちてるのは適当に拾っていっていいぞ」

  • 「ううっ、今日は冷えるねぇ」

「サキ」の設定で、これらに対する答えがすぐ出てくるだろうか? 「サラ」の設 定ならすらすらと出てくるのではないだろうか? 文章量や設定の複雑さでは「サ キ」の方が数段上をいっているのに、である。

要するに、お話を延々と作ることが必要なのではなく、「人格を決める」こと が必要なのだ。後者の方が少ない量でより広がりが持てる。ただ、前者の方が楽し く、ハマってしまう人もよく見かける。設定をしたら、上のような想定問答をし て、本当にその設定で人格が表現できているかをチェックしよう。

文章量の割に内容の足りない設定の傾向として、戦闘に関することしか記述され ていないことが多い。上の例では好対照だ。戦闘に関する ことは設定にはあまり書く必要はない。なぜなら、ほとんどのことはキャラのス テータスとして既に表現されているからだ。

結論: キャラの創作は難しい

普段、このような「キャラの人格設定」が目に入る機会はほとんどない。小説、 アニメ、映画などでは、こうした人格設定の成果が小出しになって少しずつちり ばめられて我々に届いてくる。消費者である我々は、創作者側の苦労はなかなか 見えてこないものだ。

しかし、PSOのキャラ作りでは、あなたが創作者になるのだ。それは、これらの 苦労をしょいこむことでもある。始めは苦痛に思えるかもしれないが、これは産 みの苦しみであり、創作活動という偉大な精神活動の過渡現象である。

もちろん、最初からキャラがうまく設定できるわけではない。最初は話し方とか 表面的な設定から始めて、徐々にうまくなっていけばよいと思う。しかし、キャ ラ設定技術に終わりはなく、またキャラ設定は多分に思弁的で、人間の内面まで 深く切り込む必要のある、専門家(小説家など)もいつも頭を悩ませる難しい問題 なのである。ぜひ、適当に表面的にキャラを作って終わりではなく、じっくりと キャラ設定に取り組んでほしい。

また、人間の性格や考え方が常に一定でないように、キャラ設定も一定ではない。 キャラの人生観が変わるような素晴らしい人に出会ったら設定も変えればいいし、 自分でやっていて「この設定ではまずいなぁ」と思ったら次のプレイでは変えれ ばいい。人間、進歩が大切である。キャラ設定は、はじめからいっぺんに作らず 徐々に作っていってもいい。(細かい設定なんて徐々に付け加えていけばいいの だ)