大量消費社会
大量消費社会というのは、ずっと昔から一貫して言われているから、何を今さ らと思うかもしれない。しかし、一時期それに対する反省が出てきたにもかか わらず、それがまた大量消費の波に飲み込まれたということを覚えておかなく てはならない。もはや大量消費が当たり前になり、反省されず、異論もほとん ど出なくなっている状態なのである。
昔は、大量消費の対象はモノばかりだった。今では、情報や文化まで大量消費 の時代になってしまっている。大量生産・大量消費というのはもともと「悪い もの」だったのに、今ではそれが「良いもの」に変わってきてしまっている。
関連
この章は、他の章と次のように密接な関係がある。
規格化と記号化
規格化によって、同質のものを大量に供給し、大量に消費させる。
現実の虚構化
現実の欲求と違って、虚構の欲求には際限がない。際限ない消費のために、虚構を作り出すようになる。
情報過多とフラット化
モノや情報を大量に作り出すことで、それらが需要を越えてあふれてしまう。
価値観の喪失
唯一確固たる「現実」が認識できないと、確固たる「価値観」も持つことができなくなってしまう。