現実の虚構化
「現実の虚構化」というのは、実はネット世代の一つ前の世代のキーワードで ある。しかし、前の世代が「現実の虚構化」を実感できたのに対して、ネット 世代はもはや当たり前すぎて、これを実感することはない。彼らにとって、も はや「現実」というものが存在しなくなっているのである。
つまり、前の世代が「虚構化している」と思っている現実を、ネット世代は 「現実」としてとらえてしまう。間違ってはいないが、「虚構化していなかっ たころの現実」を知らないのである。
簡単に言うならば、子供が「カブトムシが欲しい」と言って林の中ではなくペッ トショップへ駆け込むところを複雑な思いで見ている父親、といったところだ ろう。今の時代、間違いとは言えないところが「複雑な思い」の正体である。 そして子供は、自分のしたことが当たり前だと思っていて、「複雑な思い」自 体がわからない。
関連
この章は、他の章と次のように密接な関係がある。
規格化
規格化された世界に現実が無理やり適合させられるようになってしまう。
大量消費社会
「現実」が既に満たされてしまった人に対して、虚構を満たすための商品開発をする。虚構には際限がないので、いくらでも消費することが可能になった。
導入
まずは、現実と虚構に関するキーワードをいくつか見てみよう。
内容
次に、虚構と現実について詳しく見ていくことにする。
虚構を現実だと信じ込んでいる
ネット世代は、現実を、虚構と並列なものだと思ってしまっている。
現実を追い越した虚構
テレビの中の世界こそ「本当の世界」だと思い込んでしまい、一般人よりテレビタレントの方に親近感を持ってしまう。