ネット世代の心の闇を探る

現代社会の様々な特性が、若者の心をむしばんでいる。

価値観の喪失

現代は、価値観が多様化した時代といわれている。ある程度上の世代の人は、 これを、昔は一つだったものがたくさんになったことだと認識している。しか し、ネット世代は、価値観が一つしかなかった時代を知らない。

最初に一つの価値観を教えられて、その後に「価値観は一つだけじゃない」と 教えられるのならいい。しかし、「価値観」という言葉の意味もわかっていな い人に「価値観はいくつもある」と教えてしまうと、「価値観っていったい何 だ?」とわからなくなってしまう。

「価値観の喪失」自体は、ずっと昔からあった。戦前から「アプレ」などと 呼ばれていた。しかしこれは、既存の価値観の押し付けに対する反抗である。 既存の価値観自体を知らないのとは、また話が違う。

関連

この現象は、社会的な問題と密接な関係がある。

現実の虚構化
ただ一つの確固たる「現実」があいまいになると、「価値観」の存在もあいまいになってしまう。

規格化と画一化
様々な価値観が区別なく大量に流れ込んでくるせいで、「一つの価値観」を持てなくなってしまう。

大量消費社会
大量消費社会は、「消費こそが美徳」という考え方を植えつける。これは、価値観の所在を不安定なものにしてしまう。

内容