RolandのCAMマシンを使っていろいろなものを試作するとき, 付属のソフトで は力不足なことが多いので, CAMデータを直接出力するPerlスクリプトをいく つか作りました.
ここで, CAMデータというのは, ポートを通じて直接CAMマシンに出力できるデー タを指します. 例えば, シリアルでつながっているならば, ターミナルソフト でファイルの送信をすると勝手に動いて目的の動作をするようなファイルを指 します.
makehole
makeholeは, ドリル穴の座標値データから穴あけをするCAMMデータを出力しま す.
穴座標データとして, 次のようなファイルを用意します.
0,0
1000,0
1000,1000
533,4382
このように, X,Y座標を並べて書きます. 単位はμmです.
オプションは次のとおりです.
- -h
- 簡単なヘルプを出力します. -p X1,Y1>U1,V1;X2,Y2>U2,V2
- 座標データの座標系から材料の座標系への変換を指定します. これは 位置合わせに使用します. ある穴の座標X1,Y1に対して, その穴を開け るべき位置をジョグなどで合わせ, その時のテーブルの位置をU1,V1と します. これを2点について行います. これによって, 位置ずれと回転, 縮尺の補正をします. 裏返しになっていてもかまいません. UNIXシェ ルから使 う場合には忘れずに引用符などで囲います. 双方とも 単位はμmです. (CAMMの表示は0.01mm単位になっているので注意) -p X1,Y1>U1,V1
- 回転や縮尺の補正がいらない場合は, これを使うと位置ずれの補正だ けを行います. -p U,V
- 穴座標での座標原点がテーブル座標でどこにあるかを指定します. -x
- X座標の小さいものから順に穴を開けます. (デフォルト) -y
- Y座標の小さいものから順に穴を開けます. -r
- 座標の小さい方からでなく, 大きい方から順に穴を開けます. -xや-y と組合せて使います. -z UP:DOWN
- 穴あけの時の上側のZ座標(UP)と下側のZ座標(DOWN)を指定します. 双 方ともμmで指定します. UPは正, DOWNは負でなくてはなりません. デ フォルトは -z 2000:-2000です. -v SPD
- 穴あけのスピードを指定します. デフォルトでは1(mm/s)です.
オプションの後にファイルを指定します. ファイルが指定されなかった場合に は標準入力から読みます. 結果は標準出力に出されます.
例:
perl makehole.pl -p "2350,5250>1000,2800;9920,380>2000,100" -z 5:0 -v 0.1 hole.dat > hole.cam
holecoord.pl
holecoord.plは, OrCAD Layoutのドリルホールレポートファイルから makehole.plで使うような穴座標値のファイルを出力します. makeholeと対で 使うとプリント基板の穴開けを自動化することができます.
オプションは次の通りです.
- -h
- 簡単なヘルプを出力します. -n REGEXP
- ドリル番号を指定します. OrCAD Layoutのレポートファイルでは, ドリル番号として, 直径の小さいものから順に穴の番号がつけられて います. これを指定することで, ある直径の穴だけを出力することが できます. ドリル番号が正規表現REGEXPにマッチする穴だけを出力し ます.
オプションに続いてレポートファイルのファイル名を指定します. 指定がない 場合には標準入力から読みます. 結果は標準出力に書き出します.
例:
perl holecoord.pl -n "[1-4]" pcb1.drl > pcb1.dat
makepath.pl
makepath.plは, 2次元平面上のカッタパスを指定し, その通りにテーブルを動 かします. 指定された深さになるまでそれを繰り返します. 単純な図形で厚さ 方向に変化がないようなものを切削するのに使います.
カッタパスファイルの形式は次の通りです.
0,0,0,100,100,100,100,0,0,0
3,4,5,6,7,8
X座標とY座標を交互に記述します. 線が切れる時には行を変えます. 上の例で は(0,0)-(0,100)-(100,100)-(100,0)-(0,0)と切削し, 刃物を上に上げて(3,4) へ移動し, 刃物を下に下げて(3,4)-(5,6)-(7,8)と切削します. 単位は 0.01mm(CAMMでの座標値と同じ)です.
オプションは次の通りです.
- -h
- 簡単なヘルプを表示します. -z UP:STEP:DOWN
- Z座標を指定します. UPからSTEP刻みでDOWNまで指定されたパスを繰り 返し切削します. -v SPD
- 切削速度を指定します. -d SPD
- Z方向へ移動させる速さを指定します.
オプションの後にカッタパスファイルを指定します. 指定のない場合には標準 入力から読まれます. 結果は標準出力に書き出されます.
例:
perl makepath.pl -z -100:7:-200 -v 0.8 a.path > a.cam