さいごに
「ゲーム論」と称して、ゲームに関するいろいろな事を述べてきた。ボードゲームの話とビデオゲームの話がごっちゃになっているせいで混乱したかもしれない。しかし筆者の言いたいのはボードかビデオかという媒体の違いではなく、その底に流れる「ゲーム性」についてである。これについて考えるきっかけとなれば幸いである。
今までにRPGの例とTCGの例を比較的多く出した。この2つのタイプのゲームが現在日本で辛うじて生き残っているゲームであり、かつよく誤解されてゲームではない何かになってしまっている例だからである。そしてまたゲームを知らない人が比較的手に取りやすいジャンルである。ここが問題になっている。
RPGとTCGは掟破りのゲームジャンルである。掟を破ったのはゲームにつきものの制限を取り外し、ゲームに新たな面白さを加えるためである。しかしその反面、ゲームというものを知らない人にとって掟を破ったところだけが目につくようになってしまう。
本当は、RPGやTCGはゲーム慣れした人でないとうまく遊ぶことができない。もともとの「ゲーム」の発展形だからだ。RPGやTCGの入門には普通の「ゲーム」を用意すべきなのである。しかし残念なことに、その代わりに既存のRPGやTCGを簡略化したものが用意されてしまった。相対的に「ゲーム」部分は薄まり、掟破り部分の比率が高まった。そしてそれを「ゲーム」だと間違えて受け止められてしまった。
現在あるゲーム(特にビデオゲーム)は、すべていわば「キワモノ」である。様々な形で発展を重ねたその先のゲームだ。しかしキワモノばかりで王道ゲームが廃れてしまっている。その意味で昔のゲームが最近復刻され始めているのはいいことだ。原点に触れて、いろんな要素で薄められていない生の「ゲーム」を味わってほしい。そして、ゲーム以外の要素が削られた「ボードゲーム」をやって、アニメでも音楽でも映画でもないゲーム本来の面白さを知ってほしい。そう思う次第である。