ジャンケンの分析

多人数でジャンケンをするとどうなるか?

解答編

この問題をどのように考えたらいいだろうか?まず考えることは、問題の定式化である。「ジャンケンで勝負が決まる」とはどういうことだろうか?

「勝負が決まる」のは、全員の手がグーとチョキ、チョキとパー、パーとグーというように2種類に分かれている場合だ。そして、皆が同じ手を出した場合と、皆の手が3種類に分かれている場合は「あいこ」である。


さて、それでは具体的に確率を考えてみよう。いや、この場合は確率というより「場合の数」の方がわかりやすいだろう。n人でジャンケンをした場合、ありうる手の出し方は3n3^n通りある。この中で、勝負が決まるパターンは何通りあるだろうか?

「全員がグーとチョキしか出さない」という場合を考えてみれば、これは案外簡単だ。全員、2通りの選択肢があるわけだから、総数は2n2^n通りである。この中で、全員がグー、全員がパーの場合(それぞれ1通り)はあいこだから、この分を引かなくてはならない。だから、誰もパーを出さなかった場合には勝負がつくのは2n22^n-2通りだ。これが3パターンあるので、全部で3(2n2)3(2^n-2)通りである。

確率で言うと、全部の場合の数で割って、3(2n2)/3n3(2^n-2)/3^nが答えである。


さて、式がわかればあとは計算である。いちいち電卓をたたくのも面倒だろうから、下に表を載せておいた。

人数確率期待値
20.6671.50
30.6671.50
40.5191.93
50.3702.70
60.2553.92
70.1735.79
80.1168.61
90.07812.86
100.05219.26
110.03528.86
120.02343.27
130.01564.89
140.01097.32
150.007145.97
160.005218.95
170.003328.43
180.002492.63
190.001738.95
200.0011108.42

どうだろう?思ったより期待値は少ないのではないか?すぐ決まる時は印象が薄く、長々とあいこが続く時ほど印象に残るからである。


やっぱり、期待値ではなく、どのくらい長々と続く可能性があるかも見てみたい。「長々と続く」という定義があいまいだが、確率の世界では95%とか99%がよく使われる。95%とはつまり、「N回やれば95%の確率で勝負がつく」という回数である。95%と99%の場合の表を見てみよう。

人数確率95%99%
20.66735
30.66735
40.51957
50.370710
60.2551116
70.1731625
80.1162538
90.0783857
100.0525787
110.03585131
120.023129197
130.015193297
140.010291446
150.007436670
160.0056551007
170.0039831511
180.00214752267
190.00122133401
200.00133205103

最後の表はなんとなくイメージにあっているのではないか?「長々とあいこが続いたけどやっと決着がついた」という場合の回数はだいたいこんなものだ。

95%で考えると、テンポよくやって1回4秒だとして、8人で1分40秒、9人でやると3分を越える。このあたりが多人数じゃんけんの限界なのではないだろうか。