道路はだれのもの?

車社会って何か変だよね

私は自動車の免許も持っているし自動車もたまには運転する。しかし、自動車はあまり好きではない。近場(自転車で1時間以内)なら自転車で行く。で、自転車に乗っていて思うのが自転車についての世間の誤った認識である。

こう書くと世のアンチ自動車派から「そうだそうだ!車は横暴なんだ!」との声があがりそうだ。しかしそれだけではない。自転車の側も目に余る行為が多い。並進、わき見運転、逆走などなど。

これらの問題の根っこは上の意見にある。「そうだそうだ!車が横暴なんだ!」という言葉に根本的な間違いが隠れている。そう。自転車も「車」なのだ。自動車と自転車を別のものとして扱うから対立が起きるし、自転車の乗り手も歩行者なみにひどい運転をする。自転車も自動車の運転なみに気を付けるべきだし、自動車は自転車を仲間外れにしてはいけない。

「だって、スピードが違いすぎるじゃないか」と言う人がいるかもしれないが、それは間違いだ。都市の内での自動車の信号待ちも含めた平均速度は約20km/h、東京都心だと約18km/hだそうだ。このくらいは車道を走れば自転車でもすぐ出せる。実際に東京都心で自転車と自動車で競争してみるとよい。おそらく自動車の方が負けるだろう。普通の自転車は決して遅くない。

「自転車は遅くてうっとうしいよな。おまけに苦労して抜いても信号待ちでまた抜き返されるし。」という意見も聞いた事がある。自動車より自転車の方が速いのだから当たり前のことだ。わざわざ抜き返さないで自転車の後ろを走っていればよろしい。

歩行者に対して、自転車も自動車も同じ「車両」である。歩行者と車両の間の速度差に比べて自転車と自動車の速度差は微々たるものだ。自転車はどうどうと車道を走るべし。


最近では自動車の普及率が高くなったこともあって、自動車免許を持っているのが当たり前になってきている。これもまた良くない。免許というのは本来、きちんと適性を見て、この人になら安心して許可を出せるという人にだけしか出さないものだ。そして許可をもらった人は、自分は特別に許可を受けた人間だということをよく認識して事に当たるべきものなのだ。

つまり自動車の運転はプロフェッショナルな仕事なのである。これは人をはねたら業務上過失致死に当たることからも明らかである。自動車の運転は業務であり、プロ意識が問われるのだ。自動車事故は医者で言えば医療事故である。どちらも自分の腕に人の命がかかっているのだ。

しかるに、プロ意識が欠けた連中が多すぎやしないだろうか?違反をするのがかっこいいという風潮すらないだろうか?駐禁やスピード違反で捕まるのは、企業でいえば行政処分である。事の重大さがわかっていない。

車道はもともと自転車やリヤカーや馬のものであってそこに自動車が無理を言って走らせてもらっているのだ。普通に考えると自動車なんて物騒なものを走らせるわけにはいかないのだが、難しい試験にパスしたエリート達だけが特別に許可されているのである。それを考え違いして我が者顔に走り回っている自動車がなんと多いことか。


自動車の根本的な問題は、それがお金の面で優遇されていることにある。例えば、東京から名古屋まで行くのに二人乗れば自動車で行った方が電車より安い。三人乗れば完璧だ。電車は何百人もいっぺんに運んでいるというのになぜ自動車の方が安いのか?おかしいじゃないか?環境負荷も周囲への迷惑度も自動車の方がはるかに上である。自動車はもっとコストを払うべきだ。

迷惑度の話でついでに言うと、高速道路は有料なのに一般道路は無料なのもまたおかしい。真夜中に走ると一般道路で長距離トラックによく出会う。でっかいトラックが細い道を白線からはみ出しながらのろのろ走っているのを見ると、やっぱり何かがおかしいと思う。高速道路は料金がかかるからって、お前がこんな狭い道を走るか?

この問題は高速道路が高すぎるから起きるのだ。そして一般道が安すぎるのだ。ついでに言えば自動車を持つコスト全般が安すぎる。道路建設は全額自動車関連の税で補い、さらに環境税も払うべきだ。「道路は自動車だけが通るものじゃない」だって?自動車がいないんなら道路なんてもう十分すぎてお釣りがくるほどあるじゃないか。


他の分野に比べて自動車でだけなぜ横暴がまかり通っているかと言うと、発言力のある人々や世代がみな自動車が好きだからだ。環境がああだこうだと文句を言う団体は多いが、不思議と自動車に文句を言う団体は少ないし、自動車税を上げろとか自動車免許の試験を厳しくしろとか言う団体はもっと少ない。そして、子供やお年寄りなどの弱者がその犠牲になっている。

そしてその背後には「自動車はエラい」という発想があるように思う。「俺はすげー自動車を持ってるから、自転車なんて乗る気がしないね。隣のコンビニへ行くにも自動車だよ。あはは。」なんて言うのが偉い、かっこいいと皆が思っているからだ。やっぱし「自転車はかっこいい」「電車は安くて楽だ」そして「自動車は高くて大変」と皆が思うようにならないと、事故も減らないし環境問題も解決しないと思う。


ところで、なぜ急に自動車の話をしたかというと、自動車免許の更新に行ってきたからなのだ。そしてそこにいた人々が揃いも揃ってバカ丸出しだったからだ。親切に説明されても申請書が満足に書けないような人は免許なんて更新できなくてよろしい。