日本人はどうも国家による規制に反発する気風が強い。住基ネットにしろ個人情報保護法案にしろ、有事関連法案にしろ同じだ。「国家が国民の自由/権利を妨げることがあってはならない」という考えがこの根底にある。
ここではっきり言おう。この考えは間違っている。国家が国民の自由や権利を妨げることはあってもいいのだ。憲法にもこう書いてある。「国民は、これ(自由及び権利)を乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と。また「……国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、(中略)最大の尊重を必要とする」とも。つまり、「公共の福祉」の方が「個人の自由や権利」より優先されるべきなのだ。
字面を見ると何だか重々しく見えるが、要するに「自分勝手な事をして皆に迷惑をかけるな」ということであり、至極まっとうな話である。「何よりも国民の自由が優先される」という考え方は間違いである。
自衛隊の募集協力問題
少し前、自衛隊が勝手に住民基本台帳の閲覧を行ったと問題になった。さて、ここのどこが問題なのだろう?国の機関である自衛隊が、同じ国の機関が取得した情報を使う事に問題があるだろうか?企業で言えば、営業部が作った顧客リストを広報部が使うようなものだろう。そんなに問題になるようなことなのだろうか?
国の利益になるという事は国民である我々の利益になるということだ。言ってみれば我々は「日本国」という会社の株主のようなものなのだから。自衛隊が基本台帳を使って効率的に業務が進められたとすれば、それは我々にとって喜ばしいことなのだ。国の利益=我々の利益なのである。
一応クギをさしておくが、この問題は自衛隊だから問題になったという感がある。「自衛隊の存在に対する問題」と「自衛隊が行った行為に対する問題」は分けて考えるべきだ。
有事法制
有事関連法案もまた然りである。「有事の時に国民の権利は保証されるのか?」などと問う人がいるが、保証されるわけがない。有事なのだから。敵が攻めてくるという時に「俺の土地だ! 入ってくるな」などとわめくバカは敵に撃ち殺されてしまえ。敵が勝手に攻めてきたのだから悪いのは国ではなく敵なのだ。敵には文句を言えないから仕方なく国に文句を言うだけであり、要するに筋違いなのだ。
有事においてまで自由や権利を主張する左翼運動家は、自分たちを「自由をかけて国に立ち向かう勇士」だと思っている。これを翻訳しよう。「皆の反対を押し切って、自分勝手な行為ができるようにがんばろう」というわけである。まったく困った輩だ。
国はなぜ悪か
では国はなぜそんなに嫌われるのだろう。実をいうとほとんどの人はそんなに嫌っていない。嫌っているのは一部の左翼とマスコミだけである。そして彼らの声が大きすぎるから、全員が国は悪だと言っているように見えるだけなのだ。
では大多数は国の味方かというとそういうわけでもない。国は良い事も悪い事もすると思っている。しかし、こういうバランス感覚を持ち合わせた良識ある態度は「政治に無関心だ」と批判される。そして「何か行動を起こせ」と言われる。国を擁護する行動はできない(なぜならやっても意味がないから)から、何かしようとするとどうしても政府に反対する行動をするしかない。それで「政治に関心がある=反政府活動」になってしまうのだ。
もちろん、国の悪い所は悪いとはっきり言うのは必要だ。そして良い所は良いとはっきり言うのもまた必要なのだ。そしてまた、国イコール我々であることも忘れてはならない。