舛添さんの政治資金問題が連日報道されていますが、その中で「法律的には問題ない」みたいなコメントがあるのが気になります。政治資金規正法を何だと思ってるんだと。
政治資金規正法は何のためにあるのか、ちゃんと第一条に書いてあります。「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」です。政治資金を使い込んだ政治家を罰するためではありません。だから、政治家がお金をどこにどう使おうが、温泉に行こうが懐に入れようが、それが隠されずに書類として公表されさえすれば、政治資金規正法の目的にかなっているわけです。
これをザル法などと言う人もいますが、政治家に関しては、政治活動をあまり法律で縛るべきではありません。なぜなら、政治家は法律を作る立場の人だからです。現職の政治家が自分たちに有利な法律を作って政治家の行動を縛ることで、自分たち以外の政治家が出てこられないようにすることが可能になるからです。だから、政治活動に関しては、すべて有権者の判断を待つというのが正しいのです。そして、有権者が判断するための情報を揃えるために、政治資金規正法があります。
だから、「法律的には問題がない」というコメントは意味がないのです。そもそも法律自体が「問題があるかどうかは有権者が決めなさい」と言っているわけですから。有権者の決定には、理由が必要ありません。票さえ集めれば当選できますし、ただ署名を集めるだけで辞めさせることもできます。たとえ「あいつは顔がイヤミったらしくて気色悪い」という理由だったとしても、それで規定数の署名を集めれば、知事を辞めさせることだってできるのです。そういう力を持つ有権者に向かって「すべて合法的に処理してます」と言い訳してくる勘違い野郎には、「そんなの知るか。俺が気に食わないと言えばお前は辞めることになるんだ」と言えばいいんです。
どうも、「法律さえ守っていれば誰にも批判されない」と思っている人が結構いるようです。それは逆に「法律で禁止されてない事に対しては何も批判できない」ということでもあります。そんな考え方の人が多いと、何でもかんでも法律で縛らなくてはならないことになって、変な法律が増えてしまいます。
たとえ合法的なことであっても、「俺は気に食わない」と堂々と言えばいいんです。「パナマに法人を作って税金逃れしてるなんて気に食わない」とか、「本来地元に払うべき税金で牛肉やら米やらをもらってる連中は気に食わない」とか。それに対して「合法だ。文句あっか」と言ってくる奴には、「『合法だ、文句あっか』と言ってくる奴はもっと気に食わない」と言ってやればいい。もちろん、「そうやって『気に食わない』ばかり言ってる奴は気に食わない」と言われるのは覚悟の上で。
「気に食わない」と言ってるだけでは何の影響力もないということは注意しなくてはなりませんが、何の影響力もないということは逆に、それによって悪い事態になるということもないわけです。とりあえず言って、影響力をどう持たせるかを考えるのはその後でもいいんじゃないか、と思うのです。