奇妙な論理?だまされやすさの研究?

評価
3
ジャンル
科学
著者
マーチン・ガードナー
出版社
教養

擬似科学批判の古典中の古典です。もうブームは過ぎた感がありますが「トンデモ本」と言った方がわかりやすいでしょうか。この本がトンデモ本なわけではなく、トンデモ本を笑い飛ばそうという側の本です。

「地球は平たい」理論だとか、太陽系は紀元前1500年に出来ただとか、いろいろなトンデモ理論が紹介されています。本書の目的は「笑い飛ばす」ではなくもう少し真面目な問題提起ですので、そこそこ有名な例が挙げられています。そして抱腹絶倒というわけではありません。

もともとの原書が1952年の発行ですから、今からもう50年も前の話になります。今見ると少しなつかしさを感じます。地球空洞説や創造説(反進化論)、人種差別論などは日本ではあまり見られないので「ああ、あちらはファンダメンタリストの勢力がすごいんだなぁ」という感想くらいしか持ちませんが、カイロプラクティクスやダイアネティクスやはたまた怪しげな健康食品なんてのは我々にも馴染があります。ラインのESP実験の話が書いてある少年雑誌も子供のころよく見ました。

訳者あとがきにもちょっと書いてありますが、こういう類いのものは日本では擬似科学にすらならないんですよね。つまり自分の気違いじみた話に理論づけとか証明をしようという気がもとからない事が多いです。聖書に関する話といい、けっこうお国柄の違いを感じます。