不完全な死体

評価
4
ジャンル
SF
著者
ラリィ・ニーヴン
出版社
創元

臓器移植が日常化した近未来、それを基にした犯罪も多発しています。近未来を舞台としたSF本格ミステリ。

SF本格ミステリの難しいところ、それは、読者にフェアであることです。本格であるためには、読者に十分な情報量を与えなくてはなりません。しかし、SFの場合は、その世界での常識が今とはまるで違うため、それをいちいち文中で出すわけにはいきません。「この密室でどうやって殺したのだろうか」「それはこの空間歪曲装置で……」ではお話にならないわけです。

その点をうまく折り合いをつけるところが、さすがニーヴンであります。ただ、中高生並みの科学知識は必要ですけど。