The lord of the rings

もはや古典と化した名作。ファンタジーで一番有名な本でしょう。ファンタジー好きなら読んでないとモグリです。

とはいっても、これを読んでしまうと他のファンタジーが読めなくなってしまうのも事実。特に富士見ファンタジア文庫のような駄作ライトファンタジーはこの本を読む前に読んでしまいましょう。

他の凡百のファンタジーと違うのはそのリアリティー。というとすぐ「大陸の地図が...」とか「魔法体系が...」とか「言語が...」とかいい出す輩がいますが、そんなものでリアリティーは出ません。そこで暮らす人の生活が見えてくるかどうか、そこが決め手です。もし本当に魔法があったら、ファイヤーボールとかブリザードなどよりも、ビールをおいしくする魔法のほうがずっとうれしいはず。

また、物語の主人公がすごい魔法使いとか無敵の剣士とかではなく、普通の人(本当は人じゃないけど)であるところがいいです。本当に物事を成し遂げるのは能力ではなく気の持ちようである、というメッセージが伝わってきます。また、成し遂げておしまいではなく、その後についても考えさせるものがあります。私は最後のところが一番好きです。

内容が殺伐としてなくてほのぼのとしたタッチで、そこかしこにユーモアがただよっているところも、人の死が軽く扱われていないところも、最近のファンタジーばやりに便乗した三文小説にぜひ見習ってほしいものです。まぁ、ジャンルがファンタジーということもあって、ジュブナイル臭いと感じる方もあるかもしれません。それは否定しません。若いうちにこの本に出逢わなかったことを後悔してください。